動画概要
今回の動画で扱うテーマ:司法は「独立している」だけで本当に安心なのか
今回は、日本国憲法の「司法」の章(76条〜82条)を、なるべく噛み砕きながら通しで見ていきます。国会や内閣の章と違って、司法は「独立」が強く意識されている分、条文の言い回しひとつで雰囲気がガラッと変わります。
そしてこの動画の肝は、現行憲法の仕組みを確認するだけじゃありません。憲法改正草案で、いかにも「言い換え」に見える小さな変更が、どれだけ危ない余地を生みうるか。そこにこそ注目してもらいたい、という内容になっています。
派手な改正案は勝手に注目されます。でも本当に怖いのは、言われないと気づかない変更です。今回の司法の章は、その「気づきにくい変更」の宝庫みたいなところがあるので、ぜひ最後まで一緒に確認してみてください。
76条:司法権の独立は「裁判所」だけじゃなく「裁判官」まで含めて守られている
司法権はどこに属するのか
76条1項は、司法権のすべてが最高裁判所と、法律で定められた下級裁判所に属すると定めています。つまり、国会や内閣とは切り離された権限として、裁判所が司法を担う。これが「司法権の独立」の大前提になります。
ただ、ここで終わりじゃないのがポイントです。組織として裁判所が独立していても、実際に裁判をするのは一人ひとりの裁判官です。裁判官個人の判断が、上司・世論・政治・行政の空気で曲がるようなら、組織が独立している意味は薄くなってしまいます。
特別裁判所の禁止と、行政が「終審」をできない意味
76条2項は、特別裁判所の設置を禁止し、さらに行政機関は終審として裁判を行えない、としています。特別裁判所のイメージとして分かりやすいのが、前憲法時代の軍法会議です。特定の身分(軍人)を、通常の裁判所とは別枠で裁く仕組みは、人権保障や公平性が薄くなりやすい。だから現憲法は反省として、これをはっきり禁止しています。
さらに重要なのが「行政機関は終審として裁判を行えない」という部分です。逆に言えば、行政が前段階として関与する余地はありえます。たとえば運転免許の取消など、行政処分に不服があるとき、まず行政側の不服申立て(審査請求)で争う場面がありますよね。でも最終的に決着をつけられるのは裁判所である、という線引きが大事になります。行政が自分で自分の処分を最終確定させられる社会は、やっぱり怖いんです。
裁判官は「憲法と法律にのみ拘束」される
76条3項は、裁判官は良心に従って独立し、その職権を行い、この憲法および法律にのみ拘束される、とします。ここで押さえておきたいのは、「裁判官の判断を縛れるのは憲法と法律だけ」という発想です。上司の意向、行政の都合、世論の圧力、そういうものに従う必要はない。これが裁判の公平を守る最終ラインになります。
草案の76条2項:文言の変更が生む“隙間”
そして草案で気になるのが、76条2項の言い回しです。「終審として」が「最終的な上訴審として」に変わる。いかにも似ているのに、意味の幅が変わる可能性があります。
「上訴」は、裁判所の判断に不服があるとき、さらに上の裁判所に訴えること(控訴・上告など)です。もし「最終的な上訴審として」でなければ行政が最終段階に関与できる、という解釈の余地が出るとしたらどうでしょう。さらに、もし別の改正や運用が重なって「裁判所に訴えるルート」が狭められた場合、行政不服審査だけで最終確定、という形が起こりうるかもしれません。
もちろん、すぐそうなると断言できる話ではありません。ただ、ここで本当に怖いのは、「そういう制度ができても、憲法違反だと否定しにくくなる」方向に近づくことです。小さな言い換えに見えて、制度の逃げ道を増やす。こういう変更は、気づきにくいからこそ厄介です。
77条:最高裁の規則制定権が支える独立、そして草案で崩れうるバランス
最高裁が細かいルールを決められる理由
77条1項は、最高裁判所が訴訟に関する手続や弁護士の規律などについて規則を定める権限を持つとしています。もし国会や内閣が裁判手続の細部まで握れるなら、司法は簡単に揺さぶられます。だから裁判所のことは裁判所が決める、という設計で独立が補強されています。
検察官だけが「規則に従う義務」を負う意味
77条2項では、検察官が最高裁の規則に従う義務があると明記されます。ここが地味に効いています。検察官は行政機関に属する国家公務員で、裁判では国家側として動く立場です。だから行政の不当な介入が裁判を歪めないよう、裁判の公平さを守るために、憲法で義務をはっきりさせている。
一方で、弁護士は国民の側に立って国家と争うことがある存在です。裁判所と上下関係を作らず、対等に向き合えることが大切です。そのために「弁護士自治」という考え方があり、弁護士の指導監督は基本的に弁護士会や日弁連が担います。現実として最高裁規則に従う場面が多いとしても、「従わされている」のではない、という点が大事です。
草案の77条:規則の範囲が広がり、従う人も増える
草案では、77条1項の「訴訟」が「裁判」に変わります。言葉として似ていますが、「訴訟」は争って白黒つける正式手続きで、「裁判」は裁判所が関与する一連の活動全体を指しうる、より広い概念です。たとえば民事調停は、争いがあっても訴訟とは言いにくい。でも裁判所は関与しますよね。そう考えると、「裁判」に変わることで、最高裁が規則を定められる範囲が広がる可能性が出ます。
さらに草案の2項では、検察官だけでなく「弁護士その他の裁判に関わる者」まで規則に従う義務を負う形になります。ここがかなりきな臭い。上下関係を作らないことが大切だったはずの弁護士に、憲法上の「従え」を載せると、露骨な支配でなくても、遠慮や萎縮が生まれやすくなります。公平な裁判に必要な緊張感が崩れる可能性がある、というのが怖いところです。
しかも、こういう変更ほど「え、ただの言い換えでしょ?」と素通りされやすい。だからこそ注意して見ておきたい、という流れです。
78条:裁判官を簡単に辞めさせられないのは、独立を守るため
78条は、裁判官の身分保障を定めます。心身の故障などで職務ができない場合でも、勝手に辞めさせられない。分限裁判という手続を経る必要がある。ここは「悪いことをしたからクビ」ではなく、職務が不可能な状態かどうかの判断です。
悪いことをした裁判官を辞めさせるのは、弾劾裁判です。これは国会に設けられる弾劾裁判所で行われ、訴追委員会が訴追します。三権の中で裁判官をクビにできるのは国会だけ、という構造になっているのは、行政が裁判官を懲戒でコントロールするのを防ぐためです。行政は行政訴訟で当事者になることがあり、直接裁かれる立場です。そんな行政が裁判官の首に触れられる社会は、圧力の温床になりかねません。
もちろん国会にも危険がゼロとは言いません。ただ国会は、行政のように個々の裁判の当事者として直接裁かれる立場ではない。消去法的に「国会が担う」のが、現憲法の設計としての落としどころ、という整理になります。
草案では78条自体は大きくは変わらないと見られる、という触れ方ですが、前後の条文(特に報酬や任期)が揺れれば、身分保障の意味合いは間接的に変わってしまいます。だから78条だけ見て安心、とは言い切れない、という空気もここで作られていきます。
79条:最高裁の構成と国民審査、そして草案で「法律まかせ」になる怖さ
最高裁は15人、任命は内閣が握る
79条は最高裁の構成です。長官と判事で合計15名。長官は天皇が任命しますが、内閣の指名に基づくので、結局メンバーは全員内閣が選ぶ形になります。なぜ内閣なのか。国会は弾劾で辞めさせる権限を持っているので、任命まで国会に握らせると司法の最高峰の人事を完全に握ることになり、バランスが崩れる。そこで内閣に任命を担当させる、という説明になります。
では裁判所自身が選べばいいのかというと、それも問題がある。国民の意思が反映されない機関が、最高裁のメンバーまで自己完結で決めたら、独立を超えて孤立になりかねない。だから三権と国民主権の間で、ギリギリのバランスを取りにいっているのが今の形です。
国民審査は「だいたい10年ごと」だが、機能していない?
現行憲法では、任命後最初の衆議院選挙、そしてその後は10年経過後の最初の衆議院選挙のときに国民審査が行われます。選挙に合わせるから時期がずれる、という説明も入ります。
ただ、正直ほとんどの人は「よく分からないから何も書かない」になりがちで、国民審査で辞めさせられた裁判官は今のところいない。形骸化という批判があるのも事実です。
でも、ここが面白いところで、「それでいいのかもしれない」という視点も出てきます。罷免は、最高裁の地位だけでなく裁判官という職自体を失う重い結果で、罷免後しばらく裁判官に戻れない仕組みもあります。憲法が身分保障を厚くしている趣旨からすると、よほどのことがない限り罷免されない設計だった、とも読める。形骸化=悪ではなく、司法が安定している証拠、と捉える余地もある、という話です。
草案の79条:国民審査の条件も期間も「法律で決める」へ
草案で大きいのはここです。国民審査の条件や期間が、憲法レベルで固定されず、「法律の定めるところ」になっていく。つまり、どれくらいの頻度でやるか、何をもって罷免とするか、極端な例を言えば「たった1票でも罷免票があれば罷免」みたいな制度でも、憲法違反だとは言いにくくなる方向に行きうる、という指摘が入ります。
現実にそこまで極端な制度が通るかは別として、「憲法が歯止めにならない形」に近づくのが問題です。司法の独立は、制度の細部に宿ります。そこを法律でいじれる余地が増えると、政権や国会の都合で制度設計を動かしやすくなる。ここは動画を見ながら一度立ち止まって考えてほしいポイントです。
報酬の条文:草案が入れてくる「例外」が独立を削りうる
現行憲法では、裁判官の報酬は在任中に減額されないことが強く保障されています。判決次第で生活を揺さぶられる仕組みは、公平な裁判にとって危険だからです。
草案ではここに、「分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き」といった例外が入ってきます。これにより、これまでできなかった報酬の減額が可能になる余地が出る。表向きは「良心に従って独立」と言いながら、裏側で経済的な圧力の仕組みを作りうるのは、かなり反則に見える、という流れになります。
さらに「一般の公務員の例による場合」が入ると、法律改正で報酬を下げられる道も開きます。国会が額を動かしやすくなれば、裁判官の独立、そして司法権の独立は弱くなりやすい。結局困るのは国民です。お金で判断が歪められたら、被害を受けるのは裁判所ではなく、そこで裁かれる側の私たちになります。
そして現実の話として、過去に同種の理屈で減額が行われた経験がある、という話も出てきます。「困難が生じる」という表現が、体験談っぽく見える理由にもつながっていきます。
80条:下級裁判所の裁判官も独立を守る設計、でも現実には“地域手当”問題がある
80条は下級裁判所の裁判官について。任命は内閣ですが、最高裁が指名した名簿から選ぶ形で、実質の選択は最高裁側に寄っています。任期は10年で再任可能、定年は法律で定める。報酬は在任中減額されない。ここまでが基本の整理です。
ただ、ここで「今まさに動いている問題」として出てくるのが地域手当です。地域手当は勤務地の地域区分に応じて支給率が変わる仕組みで、裁判官は顔見知りなどによる不公平を避けるため、比較的頻繁に勤務地が変わります。もし支給率の高い地域から低い地域に異動したら、実質の収入が下がる。これが「報酬の減額」に当たるのではないか、という争いが起きています。
単純に「手当は報酬じゃない」と言って終わりにしたくなるところですが、地域手当は基本給に対するパーセンテージで支給されるなど、通勤手当や住居手当とは性質が違う面がある。導入の経緯も含め、実質的に報酬に当たるのでは、という視点が出てきます。
ここが面白いのは、裁判官だけの話に見えて、実は広い影響がある点です。地域手当の制度は公務員全体に関わり、さらに民間でも公務員の制度を参考に給与や手当を設計している例がある。つまり、暮らしや人手不足の問題にもつながりうる。司法の話をしているのに、生活の話へつながっていくのが、このパートの見どころです。
また、訴訟の期日が具体的な日付で触れられ、寄付で支援できる話も出てきます。こういう「現実に動いている争点」が入ると、憲法の条文が急に机上の話じゃなくなるので、動画としてもグッと引き込まれるところだと思います。
草案の80条:任期が法律で決まると、裁判官を“並べ替え”できてしまうかもしれない
草案では、下級裁判所の裁判官の任期が「法律で定める」形に寄ります。任期を短くできるなら、都合の悪い裁判官を排除しやすくなる。さらに、最高裁裁判官の国民審査条件が法律で動かせる話と組み合わさると、国会が最高裁に言うことを聞かせやすい状況が生まれうる。そして最高裁が名簿を握る下級裁判所人事にも影響が波及し、時の政権に都合のいい裁判官を揃えることが可能になりかねない、という懸念が語られます。
一度都合のいい構成にしたあと、任期を長くして固定する、なんてことも理屈としてはできてしまう。この「できてしまう余地」が怖い、という話です。露骨な支配はしなくても、制度設計のつまみを握られた時点で、独立はじわじわ弱ります。
81条:違憲審査の“ラスボス”は最高裁、でも万能じゃない
81条は、最高裁が一切の法律・命令・規則・処分について、憲法適合性を判断する権限を持つ終審裁判所である、という条文です。「違憲審査のラスボス」というイメージが一番分かりやすいところですね。実際は下級裁判所も違憲判断はできますが、最終結論を出せるのが最高裁です。
なぜ最高裁なのか、という説明として、国会も内閣も当事者だから、第三者として裁判所が判断するのが自然、という整理が入ります。よくある「第三者委員会」の発想と同じで、当事者に自己採点させないという設計です。
違憲審査の限界:具体的事件が必要、政治性が高いと避ける、立法裁量で避ける
ここからが動画の後半で効いてくるところです。違憲審査には限界がある。まず、具体的事件がないと裁判所は動けない。これが付随的違憲審査制の発想です。「事件もないのに突然裁判します」は、確かに違和感しかない。だから司法権としての違憲審査は、具体的紛争を前提にする、という説明がされます。
さらに、政治性が高度な国家行為について判断を避ける例(いわゆる統治行為っぽい場面)や、立法裁量として審査を控える場面も出てくる。こうした話を積み上げると、「最高裁、結構避けること多くない?」という疑問に自然につながります。
そして、ここで出る結論が、「裁判所に頼りすぎない」ことです。まず知ること。関心を持つこと。おかしな動きがあれば声をあげること。SNSでもコメントでも、選挙でもいい。声が高まれば、裁判所が違憲判断しなくても、国会が見直すことになるかもしれない。結局、監視する主体は国民なんだ、というメッセージがここで強く出ます。
草案の81条:「最終的な上訴審裁判所」の文言が持つ不穏さ
そして草案で出てくる文言が、またしても「最終的な上訴審裁判所」です。76条2項で見た言い回しとつながってきます。もし行政処分などについて訴訟ルートが狭められ、行政不服審査で最終確定する場面が増えたら、そもそも裁判所に持ち込めず、違憲審査も発動しにくくなる。言い回しの小さな違いが、制度全体の出口を変えうる、という警戒がここで強まります。
82条:公開裁判の原則は「国民の信頼」をつくる、でも草案の言い換えが気持ち悪い
82条は、裁判の対審および判決は公開法廷で行う、という公開裁判の原則です。刑事だけでなく民事も含めた裁判全般が公開、という意味合いになります。公開する理由は、国民が公平な裁判が行われているか監視できるようにするためで、判例ではそれが国民の信頼の確保につながる、とされます。裁判は制度として「ガラス張り」に寄せている、ということですね。
ただし、公開だからといって、傍聴を権利として要求できるとか、法廷でメモを取る権利まで当然に保障する、という話ではない、という注意も入ります。できるけど、権利として強制できるわけではない。この距離感も、意外と誤解されやすいところだと思います。
非公開は例外、しかも判決は常に公開
82条2項では、秩序や善良の風俗を害するおそれがある場合など、例外的に対審を非公開にできるとされます。ただし、政治犯罪・出版に関する犯罪・人権が問題となる事件は例外なく公開。国民にとって特に重要で、監視が必要だからです。さらに、非公開の対象は「対審」だけなので、判決は常に公開。この線引きも、公開裁判の根っこを支えています。
草案の82条:「対審」が具体列挙に変わることで、非公開の余地が増えるかもしれない
草案では「対審」が「口頭弁論及び公判手続」に置き換わります。これも一見似ていますが、「対審」は本来、当事者のやり取り全体を包む少し広い概念です。そこを具体的手続名に寄せてしまうと、「これは口頭弁論でも公判手続でもないから公開の原則は当てはまらない」と言い出せる余地が残る。つまり、非公開にできる部分が増えるかもしれない。変える必要が薄いのに変える、というところに、気持ち悪さや違和感を覚える、という話になります。
こういう違和感を「気のせい」で流さずに、ちゃんと立ち止まって見ること。それ自体が大事だ、というメッセージで締まっていきます。
最後に:司法の章を見終えたあと、いまの政治をどう見るか
司法の章を通しで見ると、憲法がどれだけ「公平な裁判」と「国民を守る仕組み」を重視して設計しているかが見えてきます。裁判所の独立だけでなく、裁判官個人の独立、身分保障、報酬の保障、公開裁判、違憲審査。全部がつながっています。
そして、草案の変更点は「大改造」というより、「小さな言い換え」で制度の余地をじわじわ広げていくようなものが多い。だからこそ怖い。派手な話よりも、気づきにくい話を丁寧に追いかける必要がある、というのがこの動画の一番の狙いです。
さらに終盤では、衆議院解散の話題にも触れます。いまでは当たり前のように扱われがちでも、本来そのタイミングの解散が憲法上認められるのか、という視点を忘れないでほしい。選挙は、分かりやすい「良さそう」だけで判断すると危ない。予算成立や国の動きが遅れる影響も含めて、「これは国民のためなのか」を考えた上で投票してほしい。そんな呼びかけで、動画は締まっていきます。
まとめ
この動画は、司法の章(76条〜82条)を一気に見ながら、「司法権の独立」とは何かを、制度の細部まで落として確認していく内容です。特別裁判所の禁止、行政が終審になれない意味、最高裁の規則制定権、弁護士との関係のバランス、裁判官の身分保障と弾劾、最高裁の任命と国民審査、報酬の減額禁止、下級裁判所の任期、違憲審査の限界、公開裁判の原則。どれも一見バラバラに見えて、全部が「国民が公平な裁判を受けるため」に設計されています。
そして憲法改正草案では、「言い換えに見える小さな変更」が、行政の関与や法律まかせの余地、弁護士の萎縮、報酬による圧力、公開原則の穴など、独立を弱めうる方向へ働く可能性があることが丁寧に語られます。結局、守りたいのは裁判所の権威ではなく、私たちの生活と権利です。
「裁判所が何とかしてくれる」と思いすぎるのではなく、まず知り、気づき、声を上げ、選挙で意思表示する。そういう積み重ねが、制度の暴走を止める現実的な力になります。司法の章を一度通しで理解しておくと、ニュースの見え方が確実に変わってきます。ぜひ動画本編で、条文の言い回しが持つ“温度差”を一緒に感じてみてください。
動画テキスト
| キャラクター | セリフ |
| ゆっくり魔理沙 | 今回は司法の章を解説していくぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | 1つの動画でおさまるの? |
| ゆっくり魔理沙 | 内閣も1つでいけたし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 司法の章は7条分だから1つの動画でやりきれるはず。 |
| ゆっくり魔理沙 | 国会と内閣は互いに関連し合う部分が多かったけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 司法権は独立しているので、それらとはまたちょっと
テイストが変わってくるかな。 |
| ゆっくり魔理沙 | どのように独立を保っているかに注目してほしい。 |
| ゆっくり霊夢 | 憲法改正草案で変えられてる部分も多そうだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 果たしてどうだろうな。 |
| ゆっくり魔理沙 | さっそくやっていこう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 76条1項は、司法権のすべてが最高裁判所と
法律で定められた下級裁判所に属すると定められている。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、司法権は国会や内閣とは切り離されたもので
あることを示しており、 |
| ゆっくり魔理沙 | 司法権が独立していることの根拠となる
条文の1つってわけだ。 |
| ゆっくり霊夢 | すべての司法権を握ってるんだから、これだけでも
独立してるっていえそうだけど。 |
| ゆっくり霊夢 | 足りないの? |
| ゆっくり魔理沙 | 組織としてはそうなんだけど、
裁判をするのは1人1人の裁判官だから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官についても独立しているとされて、
はじめて司法権が独立しているといいきれるだろうな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 良い疑問をありがとう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 滑り出し上々だ。 |
| ゆっくり霊夢 | なんかよくわからないけど、うれしそうで何より。 |
| ゆっくり霊夢 | ほんとは人権のときにそういう話してたのうっすら
覚えてただけだけど(小声) |
| ゆっくり魔理沙 | 何か言ったか? |
| ゆっくり霊夢 | いやいや、なんでもないよ。 |
| ゆっくり霊夢 | ところで、『下級裁判所』って地方裁判所とか
高等裁判所のことだよね? |
| ゆっくり魔理沙 | そうだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 他にも、裁判所法では家庭裁判所と簡易裁判所を
下級裁判所としている。 |
| ゆっくり魔理沙 | で、76条2項では、特別裁判所の設置を禁止している。 |
| ゆっくり魔理沙 | 特別裁判所というのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 軍人を裁判する軍法会議のように、 |
| ゆっくり魔理沙 | 通常の裁判所とは別に設けられ、
特定の事件や身分だけを扱う裁判所のことをいう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 前憲法時代は日本にも軍法会議があり、 |
| ゆっくり魔理沙 | 軍人は、個人の権利よりも、軍の統制の乱れを
ただすことを優先して裁かれた。 |
| ゆっくり魔理沙 | しかも、軍人が裁判官となって裁判するため、 |
| ゆっくり魔理沙 | 上官の意向や軍の方針など、外部の影響が
判断を左右することも少なくなかった。 |
| ゆっくり魔理沙 | 人権保障の考えが薄く、
公平さに欠ける裁判が多かったので、 |
| ゆっくり魔理沙 | 基本的人権を尊重し、公平な裁判を受ける権利を
保障する現憲法では、 |
| ゆっくり魔理沙 | これを反省して特別裁判所を禁止したわけだ。 |
| ゆっくり霊夢 | なるほど。 |
| ゆっくり霊夢 | これも司法権以外に属する裁判所を禁止して、
司法権の独立を守る規定でもあるんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、完全に禁止しているわけじゃない。 |
| ゆっくり魔理沙 | 2項には『行政機関は、終審として裁判を
行ふことができない。』となっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | これは逆に言えば、終審じゃなければ行政機関が
関与できる余地があるともいえるわけで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所法3条2項では、行政機関が前審として審判する
ことを妨げないとしている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 例えば、車を運転してたりすると、違反が見つかって
行政処分として免許取り消しになったとするよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | この処分に納得ができないときは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 公安委員会に不服を申し立て制度で
審査請求することができるし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 不服申し立てでも納得できない場合、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所に訴えることができるんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ちなみに、道路交通法は
いきなり裁判所に訴えることもできるぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | 行政も不服審査で裁判に似たことはできるけど、
最終的な結論を出せるのは裁判所だけってことか。 |
| ゆっくり霊夢 | これも司法権の独立を守ってるね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、76条3項はさっき少し話した裁判官個人の話。 |
| ゆっくり魔理沙 | 『すべて裁判官は、その良心に従ひ独立して
その職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。』 |
| ゆっくり魔理沙 | と定められている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 『良心』にはいろんな考え方があるけれど、 |
| ゆっくり魔理沙 | ここでおさえておきたいのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官の判断を縛れるのは憲法と法律だけだということ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 国会や行政の意向にも、 |
| ゆっくり魔理沙 | 上司の意向にも、 |
| ゆっくり魔理沙 | 世論の意向にも、 |
| ゆっくり魔理沙 | 従う必要はないということだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法は76条全体でもって、司法権の独立を
明確にしているわけだな。 |
| ゆっくり霊夢 | なんかかっこいいね。 |
| ゆっくり魔理沙 | で、76条の憲法改正草案についてなんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 2項がちょっと気になる言い方になっている。 |
| ゆっくり霊夢 | 『終審として』が『最終的な上訴審として』
になってるね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうなんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 『終審』というのは、最終段階の審理のことで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 現憲法だと、行政機関は最終段階の審理をすることは
できないという風に読むことができる。 |
| ゆっくり魔理沙 | これに対して、 |
| ゆっくり魔理沙 | 『上訴』っていうのは、受けた裁判が納得いかない場合、
さらに上の裁判所に訴えることだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 控訴とか上告とかがこれにあたるな。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、憲法改正草案では、
『上訴審として』じゃなければ、 |
| ゆっくり魔理沙 | 行政機関が最終段階の審理ができる余地があるような
条文になっているんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | つまり、どういうことになるの? |
| ゆっくり魔理沙 | あくまで、可能性の話として聞いてほしいんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案では、裁判を受ける権利も公益及び公の秩序
により制限しやすくなっていると考えられる。 |
| ゆっくり魔理沙 | とすると、行政処分を裁判所に訴えることについても
制限できる可能性がある。 |
| ゆっくり魔理沙 | で、もし、訴訟ができないとなれば、 |
| ゆっくり魔理沙 | さっき出したような行政不服審査にしか訴えることが
できなくなってしまうわけだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | この行政不服審査は、当然『上訴審』ではない。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、行政不服審査で最終的な結論を出すことが
できるようになるかもしれないってことだ。 |
| ゆっくり霊夢 | それって行政が好きなようにできてしまうってことじゃ。 |
| ゆっくり霊夢 | 司法権の独立は? |
| ゆっくり魔理沙 | 今いったようないろんな条件が重ならないと
実現はしないだろうし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案でも1項では
司法権が裁判所に属することを定めている。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、危険性は
低いとは思う。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、間違いなくいえるのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 行政不服審査で最終的な結論が
確定してしまう制度を、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法違反だと否定しにくくなるってことだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 司法権の属する裁判所は法律で定める
となっている以上、 |
| ゆっくり魔理沙 | 行政が入り込む隙が
ないわけじゃないからな。 |
| ゆっくり霊夢 | 司法権がいくら独立してても、
手続きが司法を通らないんだったら意味がないじゃない。 |
| ゆっくり魔理沙 | 自民党のQ&Aを見ても、これに対するコメントは
まったくないし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 『今までの憲法を言い換えただけか』と見逃してしまい
そうな小さな変更を、 |
| ゆっくり魔理沙 | しれっと入れてくるあたりが
腹立たしくもあるし、怖く感じるよな。 |
| ゆっくり霊夢 | 実際、言われてみないと私も間違いなく素通りよ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 76条はこのあたりにして、次に進もう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 77条1項は、最高裁判所が規則を定める
権限があるとしている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 訴訟に関する細かいルールを最高裁判所が
決めていいとすることで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所の独立を保っている。 |
| ゆっくり魔理沙 | もし、規則まで国会や内閣が細かいところまで
口を出せるとなってしまうと、 |
| ゆっくり魔理沙 | 当然司法権の独立が弱まってしまうよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | それに、細かい部分は実務を実際行っている裁判所が
決めたほうが実用的だという理由もある。 |
| ゆっくり霊夢 | そりゃわかってる人が決めたほうがいいよね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、2項では、検察官が最高裁判所の規則に
従わないといけないことを定めている。 |
| ゆっくり霊夢 | 検察官だけ? |
| ゆっくり霊夢 | 1項では規則の中身に弁護士のことも
入ってるみたいだけど、弁護士は従わなくていいの? |
| ゆっくり魔理沙 | 従わなくていいかというと、
そんなことはないだろうけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高裁の規則に従わないといけない『義務』を、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法で明確に負わせてしまうのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 弁護士と裁判所の関係性のバランスを
崩してしまうのでよくないな。 |
| ゆっくり霊夢 | どういうこと? |
| ゆっくり魔理沙 | 弁護士は、国民の側に立って国家と争うことになる。 |
| ゆっくり魔理沙 | なので、国家権力である裁判所とは上下関係ではなく
対等な関係で向き合う必要がある。 |
| ゆっくり魔理沙 | 国家権力にへりくだってたら、国民を守れないからな。 |
| ゆっくり魔理沙 | そのために、弁護士法では
弁護士は弁護士会に入会し、 |
| ゆっくり魔理沙 | 日本弁護士連合会の名簿に
登録されなければならないとされていて、 |
| ゆっくり魔理沙 | 弁護士への指導監督は基本的にこれらの会のみが行う
という『弁護士自治』を認めている。 |
| ゆっくり霊夢 | 弁護士は2つも会に入らないといけないのね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 現状の弁護士もほぼ最高裁の規則に
従っているとは思うけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | それを強制されていないというところがポイントだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | これに対して、 |
| ゆっくり魔理沙 | 検察官は、国の行政機関に属する国家公務員で、
裁判では国家の側に立って活動する。 |
| ゆっくり魔理沙 | なので、行政の不当な介入で、
被告人が不利になったりしないように、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判の公平さを守るため、 |
| ゆっくり魔理沙 | 検察官に憲法で規則に従うことを
義務付けているわけだ。 |
| ゆっくり霊夢 | なるほどね。 |
| ゆっくり霊夢 | よくできてるわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、3項では、下級裁判所に関する規則を定める権限
を、下級裁判所に委任することができると定めている。 |
| ゆっくり霊夢 | 下級裁判所のことは、下級裁判所自身に決めさせたほうが
うまくできるだろうしね。 |
| ゆっくり霊夢 | これはわかるわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高裁判所の負担が大きすぎないようにという
意図もあるのだろう。 |
| ゆっくり魔理沙 | といったところで、憲法改正草案で77条がどうなって
いるかみてみよう。 |
| ゆっくり霊夢 | まず、1項のところで『訴訟』が
『裁判』に変わってるよね? |
| ゆっくり霊夢 | これは何か違いが出てくるの? |
| ゆっくり魔理沙 | 用語としてはほとんど同じ意味で
使われることが多いけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 厳密にいうと『訴訟』とは争って白黒つける
正式な手続きのことをいい、 |
| ゆっくり魔理沙 | 『裁判』とは裁判所が関与する
一連の活動全部のことをいう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 例えば、争いはあるけど話し合いで解決しようとする
民事『調停』は訴訟に入らない。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、裁判は訴訟を含むより広い範囲の
意味を持つ言葉であり、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案では、最高裁判所が規則を定められる
範囲が広がっている可能性がある。 |
| ゆっくり霊夢 | それって何か問題あるの? |
| ゆっくり魔理沙 | この条文だけだとわかりにくいけど、次の2項も合わせる
とちょっときな臭い感じになってくる。 |
| ゆっくり霊夢 | 2項は、 |
| ゆっくり霊夢 | 検察官以外に、 |
| ゆっくり霊夢 | 『弁護士その他の裁判に関わる者』も最高裁判所の規則に
従うことが義務付けられてるね。 |
| ゆっくり霊夢 | あれ? |
| ゆっくり霊夢 | 弁護士は裁判所と上下関係がないことが大事なんじゃ
なかったっけ? |
| ゆっくり魔理沙 | その通りだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | なので、
弁護士に規則に従う義務を負わせるということは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 上下関係ができるとまではいわないまでも、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所に遠慮しやすい、逆らいにくい傾向が
生まれてしまう可能性がある。 |
| ゆっくり魔理沙 | 公平な裁判をすることを考えると、
その可能性があるだけでも問題になりうる。 |
| ゆっくり魔理沙 | しかも、1項で規則の範囲を憲法上
訴訟のみならず裁判全体に広げている。 |
| ゆっくり霊夢 | これは弁護士の活動を抑え込みたいってこと? |
| ゆっくり魔理沙 | 強くそうだとは言えないけど、
そういう狙いがあるんじゃないかと私も思う。 |
| ゆっくり魔理沙 | この点についても自民党Q&Aでコメントはないが、 |
| ゆっくり魔理沙 | 変えなくても現状問題ないと思われる部分が
わざわざ変更されている上に、 |
| ゆっくり魔理沙 | 重要なバランスを崩す可能性があるとすれば、 |
| ゆっくり魔理沙 | 何らかの意図を感じてしまうよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | これから、憲法改正が本格的になるのかもしれないけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 派手な変更案はほっといても注目が集まるだろう。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、私たちが本当に注意して
見ていかないといけないのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | こういう言われないと気づかないような
変更部分だと思う。 |
| ゆっくり霊夢 | こんなちょっとした違いで全然違う可能性があるなんて
聞いてなかったら気づかないよ。 |
| ゆっくり魔理沙 | それじゃあ次の条文に進もう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 78条は、裁判官を簡単に辞めさせられないこと |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、裁判官の身分を保障することを
定めている条文なんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | いくら独立してるからって、自分が簡単にクビになる状態
だったら、絶対影響されるもんね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 自由な活動に身分を守ることが必要なのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 今まで大学の自治やら国会議員の話なんかで
散々やってきたからさすがにわかるか。 |
| ゆっくり霊夢 | そりゃあね。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、簡単に辞めさせられないのも
裁判官の独立のためだといえるな。 |
| ゆっくり霊夢 | 裁判官は心身の故障があって職務が遂行できなくても、
裁判しないと辞めさせられないんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官分限法1条では『回復困難な心身の故障』のために
仕事ができないと裁判された場合に |
| ゆっくり魔理沙 | 辞めさせることができると定めている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 当たり前だけど、インフルエンザにかかったからって
裁判されるわけじゃないぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | そんなことで裁判してたら、裁判官いなくなるわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | それは冗談として、分限裁判は基本的に悪いことを
したから辞めさせられるというものじゃない。 |
| ゆっくり魔理沙 | 悪いことしたから辞めさせるのは弾劾裁判だ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 条文にも『公の弾劾』ってあるよな。 |
| ゆっくり霊夢 | これは国会のところの条文にあったやつだよね? |
| ゆっくり魔理沙 | そうだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 64条では、両議院の議員で組織する
弾劾裁判所が設けられる話をしたよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 繰り返しになってしまうけど、弾劾裁判は、両議院議員で
組織された訴追委員会のみが訴追でき、 |
| ゆっくり魔理沙 | 訴追委員会とは別の両議院議員で組織された
弾劾裁判所でのみ行うことができる。 |
| ゆっくり霊夢 | つまり、裁判官が悪いことしたからってクビにできる
のは三権の中だと国会だけってことだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、前も言ったように、訴追委員会に訴えてくれって
請求することは誰でもできる。 |
| ゆっくり魔理沙 | どう考えても問題があると思う裁判官がいたら、
請求してみよう。 |
| ゆっくり霊夢 | 国民の監視の目を働かせないとね。 |
| ゆっくり魔理沙 | じゃあ、条文に戻るけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官の懲戒処分は行政機関はできないことに
なっている。 |
| ゆっくり霊夢 | どうしてそうなってるの? |
| ゆっくり魔理沙 | それは、行政からの圧力で、
裁判の中身がゆがむのを防ぐためだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 行政訴訟というものがあるように、
行政は司法によって裁かれる場面は多い。 |
| ゆっくり魔理沙 | 行政が懲戒で辞めさせられるとなると、 |
| ゆっくり魔理沙 | 行政の意向に沿わない判決を出した裁判官に
懲戒処分にするぞと圧力をかけたりして、 |
| ゆっくり魔理沙 | 判決を有利にもっていこうとする
可能性も考えられるだろ。 |
| ゆっくり霊夢 | でも、それは国会にもいえることじゃない? |
| ゆっくり霊夢 | 法律の違憲審査とかあるでしょ。 |
| ゆっくり霊夢 | 国会が弾劾裁判を設けてやめさせるのはいいの? |
| ゆっくり魔理沙 | もちろん国会だって行政機関と同じことになる
危険性がゼロとはいえない。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、行政機関と国会では立場が違う。 |
| ゆっくり魔理沙 | 行政機関は行政訴訟で裁判の当事者に
なったりするわけで、直接裁かれる立場だけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国会は法律を作る側であって、違憲審査はあるけど、
個々の裁判の当事者ではないし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 違憲判決が出たからといって、
直接何か不利益を被るわけじゃない。 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所自身が裁判官を懲戒で辞めさせるとしても、
身内に甘くなる危険性のほうが大きいから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 消去法で、国会が請け負う形に
なったんだと考えられるな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 国会は国民の代表者の集まる機関でもあるわけだし。 |
| ゆっくり霊夢 | その考え方でいくと国民はまさに
裁判の当事者になるわけだし、 |
| ゆっくり霊夢 | 国民が直接辞めさせる形
にしてないのも納得できるね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただし、次の条文以降の話になるけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高裁判所の裁判官については、弾劾裁判に加えて、
国民による審査でも辞めさせられる可能性がある。 |
| ゆっくり霊夢 | そうなんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | それに、国会議員も結局は国民の
代表者であるわけで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 直接ではないにしろ、結局は国民が裁判官を
審査する形にはなっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官の独立もそうだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法の設計する制度は
まず国民を守るためにあるからな。 |
| ゆっくり霊夢 | 今までやってきた条文すべてが、
そのために定められているんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ちなみに、さっき裁判所で懲戒すると身内に甘くなる
みたいなこと言ったけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 職務上の義務違反や、サボり、
裁判官としての品位を辱める行動があったら、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判によって軽い懲戒処分にはできる。 |
| ゆっくり霊夢 | なるほど。 |
| ゆっくり霊夢 | 78条は『辞めさせるかどうか』がメインテーマになった
条文であって、 |
| ゆっくり霊夢 | 別にペナルティを与えることは
問題ないんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官という身分を保障することが大事だからな。 |
| ゆっくり魔理沙 | ペナルティといっても、後で出てくる条文に
あるように、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官は他の公務員みたいに
減給にはできないから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 過料として払わせる形になっている。 |
| ゆっくり霊夢 | へえ。 |
| ゆっくり魔理沙 | じゃあ、憲法改正草案で78条がどうなってるかだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 内容に大きな変更はないと思われる。 |
| ゆっくり霊夢 | 条文にたどれるようになったのは読みやすいね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ちなみに、『次条第三項に規定する場合』というのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | さっきも言っていた、最高裁判所の裁判官が国民審査で
罷免すべきとされた場合のことをいっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | それじゃ次に進もう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 79条1項は、最高裁判所の構成について定めている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高裁判所は、裁判所法5条1項で
長たる裁判官である『最高裁判所長官』 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、裁判所法5条3項で最高裁判所判事の員数は
14人となっているので、 |
| ゆっくり魔理沙 | 合計15名で構成されている。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、最高裁判所長官以外の判事は、
内閣によって任命されるとしている。 |
| ゆっくり霊夢 | 最高裁判所長官は? |
| ゆっくり魔理沙 | 6条2項により、天皇が任命する。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、内閣の指名に基づくので、 |
| ゆっくり魔理沙 | 結局、最高裁判所のメンバーは
全員内閣が選ぶことになる。 |
| ゆっくり霊夢 | 裁判所の中で『出世してー』ってわけじゃないんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そりゃ『憲法だけ』みれば可能性としては、
新人から選ぶこともできるだろうけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所法41条に任命される条件が定められている。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから『法律』上では新人は選ばれる可能性はないな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 感覚的にも最後の砦のメンバーに
さすがに新人がいるの嫌だろ。 |
| ゆっくり霊夢 | 40歳以上かあ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 年齢だけの問題じゃないからな。 |
| ゆっくり魔理沙 | お前は司法試験すらやってないんだから、
そもそも選ばれる可能性はゼロだぞ。 |
| ゆっくり霊夢 | 何も言ってないじゃない。 |
| ゆっくり霊夢 | それより、どうして内閣が任命するの? |
| ゆっくり魔理沙 | 三権のバランスを考えてだろうな。 |
| ゆっくり魔理沙 | すでに説明したように、国会には裁判官を弾劾裁判で
やめさせる権限がある。 |
| ゆっくり魔理沙 | 任命権まで国会に握らせると、司法の最高峰である
最高裁判所の人事権を完全に握ることになってしまう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 法律の違憲審査もあるわけだし、それはよろしくない。 |
| ゆっくり魔理沙 | ということで、内閣が任命を担当すること
になったと考えられる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 内閣だって、国民の代表である国会議員の中から、
内閣総理大臣が選ばれ、 |
| ゆっくり魔理沙 | その内閣総理大臣が組織したのが内閣なんだから、
国民の意思も反映されていないわけじゃない。 |
| ゆっくり霊夢 | ふーん。 |
| ゆっくり霊夢 | 裁判所自体に選ばせるのもダメだった? |
| ゆっくり魔理沙 | 国の機関として、国民の意思が反映されていないと、
国民主権とはいえない。 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官は選挙で選ばれるわけではないので、 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高裁判所のメンバーまで裁判所で選んでしまったら、 |
| ゆっくり魔理沙 | まったく国民の意思が
反映されてないことになってしまう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 司法権が独立しているとはいえ、
国民から完全に切り離されてしまうのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国の機関として独立じゃなくてもはや孤立だ。 |
| ゆっくり霊夢 | なるほどね。 |
| ゆっくり霊夢 | うまくバランスとってるわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | だよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、2項では、最高裁判所の裁判官はだいたい
10年ごとに国民審査されることを定めている。 |
| ゆっくり霊夢 | だいたい? |
| ゆっくり魔理沙 | というのも、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国民審査は、任命後はじめておこなわれる
衆議院選挙のときに選挙と一緒に行い、 |
| ゆっくり魔理沙 | その後は10年経過後にはじめておこなわれる衆議院選挙
のときに選挙と一緒に行うとされているからな。 |
| ゆっくり霊夢 | 選挙のタイミングでやるから、多少時期がずれるのね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、3項にあるように、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国民審査の結果、投票者の多数が裁判官を『罷免』
つまり辞めさせたほうがいいとするときは、 |
| ゆっくり魔理沙 | その裁判官は辞めさせられることになる。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、実際の審査のやり方は、
4項にあるように法律で定められている。 |
| ゆっくり魔理沙 | それが、最高裁判所裁判官国民審査法
という法律なんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 辞めた方がいいと思う裁判官にバツをつける
という方法で行うことが定められている。 |
| ゆっくり霊夢 | と言われましても、 |
| ゆっくり霊夢 | よくわからないからいつも何も書かずにいるわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | まあどの裁判官がどんな判決を出すのに
かかわっていたかなんて、 |
| ゆっくり魔理沙 | なかなか調べてる人もいないだろうからな。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、この国民審査で辞めさせられた人は
今のところ一人もいないし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 形だけのものになってしまってるんじゃないか、
という指摘もあったりする。 |
| ゆっくり霊夢 | そりゃそうだろうね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、それでいいのかもしれない。 |
| ゆっくり霊夢 | え? |
| ゆっくり魔理沙 | 『罷免』てあまり聞きなれない言葉だから
勘違いしてしまうかもしれないけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高裁判所裁判官という地位だけじゃなくて、
裁判官という職自体を失うことになる。 |
| ゆっくり魔理沙 | そのことは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 罷免された裁判官は5年間は裁判官に任命されない
ことが定められていることからもわかる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法が裁判官の身分保障を厚くしていることを考えると、 |
| ゆっくり魔理沙 | 余程のことがない限り、 |
| ゆっくり魔理沙 | 辞めさせられるような状態にならないように
今の制度になったとも考えられる。 |
| ゆっくり霊夢 | 私が『よくわからないから』と思ってるってことは、
その『余程のこと』がないから大丈夫ってことね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 次に5項では、最高裁判所の裁判官は法律で定年を
定めることを定めている。 |
| ゆっくり霊夢 | 他の裁判官は定年ないってこと? |
| ゆっくり魔理沙 | いや、憲法80条に同じ規定があるし、
まとめて裁判所法に定められているぜ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高裁判所の裁判官の定年は70歳だな。 |
| ゆっくり霊夢 | 定年って60歳くらいが多い印象だから、 |
| ゆっくり霊夢 | 裁判官は結構頑張らないとだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 最後の6項では、最高裁判所の裁判官は、
定期的に報酬が出て、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官である間は減額されることはないことが
定められている。 |
| ゆっくり霊夢 | これも裁判官の身分保障よね。 |
| ゆっくり霊夢 | 判決次第で収入減らされたらたまったものじゃないもの。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法で定められているんだから、
これ以上の安心感はないよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | ちなみに、最高裁判所長官の報酬は
月額209万5千円で、 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高裁判所判事の報酬は
月額152万8千円だ。 |
| ゆっくり霊夢 | 世間一般と比べたら多いけど、 |
| ゆっくり霊夢 | 責任の重さを考えたら、高いか安いかわからないわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官は仕事外でも公平な裁判を守るために |
| ゆっくり魔理沙 | 私生活でも言動や人間関係、ネットなど、あらゆる面で
気を付けている人が多いらしい。 |
| ゆっくり魔理沙 | そう思うと、安いわけではないのかもしれない。 |
| ゆっくり魔理沙 | じゃあ、79条が憲法改正草案でどう変わっているのか。 |
| ゆっくり霊夢 | 独立性ちゃんと守られてるか心配だ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 1項は大きな変更がないので2項。 |
| ゆっくり魔理沙 | 国民審査は法律の定めるところとなっている。 |
| ゆっくり霊夢 | え? |
| ゆっくり霊夢 | じゃあどれくらいの期間でやるとか、
罷免される基準も法律次第になるってこと? |
| ゆっくり魔理沙 | その通り。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、3項は単に『前項の審査において罷免すべきと
された』と文言が変わっている。 |
| ゆっくり霊夢 | これって、つまり法律で1票でも罷免を可とする投票が
あれば、罷免できるとか定められるってこと? |
| ゆっくり魔理沙 | だいぶ極端な例だし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 現実には難しいのかもしれないけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 少なくとも、憲法違反ということにはならないだろう。 |
| ゆっくり霊夢 | ヤバすぎる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 現憲法で4項にあたる部分は、憲法改正法案の2項で
法律で定めることになったから削除され、 |
| ゆっくり魔理沙 | 次に大きな変更があるのは5項、
現憲法では6項にあたる報酬について定める条文だ。 |
| ゆっくり霊夢 | 『分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による
場合を除き』ってなんか例外が追加されてるんだけど? |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官分限法では、
軽い懲戒処分があるって話をしたよな? |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、これでも報酬の減額まではできなかった。 |
| ゆっくり霊夢 | でも、それができるようになると。 |
| ゆっくり魔理沙 | そう。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、裁判官個人がその良心に従い判断するという
76条3項を害しやすくなるなるだろうということだ。 |
| ゆっくり霊夢 | 表向きは裁判官の自由に任せるって言っておきながら、
その自由を害するような規定をいれてるのは反則でしょ。 |
| ゆっくり魔理沙 | それに、『一般の公務員の例による場合』を
いれることによって、 |
| ゆっくり魔理沙 | 法律改正によって報酬を下げられるようにもなっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、国会が報酬額を変更できるわけで、これも
裁判官の独立、司法権の独立を弱めることになるよな。 |
| ゆっくり霊夢 | やっぱり司法権の独立性を下げに来てるなあ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ここで、自民党のコメントをみてみよう。 |
| ゆっくり霊夢 | 国民審査について、立法上工夫の余地が出てくるって
書いてるけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | それは、別に憲法改正なんてしなくても余地はあって、 |
| ゆっくり魔理沙 | 例えば、最高裁裁判所の判決について、
もっと国民に周知させるように義務付けるとか、 |
| ゆっくり魔理沙 | 工夫のしどころはあるはずなんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | それに、形骸化しているという批判については、 |
| ゆっくり魔理沙 | さっきも言った通り、 |
| ゆっくり魔理沙 | そもそも司法権の独立を定めている憲法の趣旨が、 |
| ゆっくり魔理沙 | よほどのことがない限り罷免されないことにある
という反論ができる。 |
| ゆっくり霊夢 | 形骸化してるって、司法が安定していることの
証明ともいえるだろうしね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ということを踏まえれば、条件や期間も含めてすべて
法律まかせにしようとするのはやりすぎだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | それと、裁判官の報酬の減額について、 |
| ゆっくり魔理沙 | 『公務員の給与の引き下げを行う場合に
解釈上困難が生じる』とあるが、 |
| ゆっくり魔理沙 | そもそも、現憲法では困難どころではなく、
減額していいと解釈できる余地はないと思われる。 |
| ゆっくり霊夢 | 現憲法では例外もなにも書いてないもんね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、一応見解としては、国家財政の必要のため、 |
| ゆっくり魔理沙 | 他の公務員と連動して
裁判官全体の報酬を下げる場合は、 |
| ゆっくり魔理沙 | 合憲だとするものがあるんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、この見解においても、一般の公務員は給料が
下がらないのに裁判官全体だけ給料が下がるのは |
| ゆっくり魔理沙 | 司法権の独立に反すると考えている。 |
| ゆっくり霊夢 | つまり、国の財布が厳しいから仕方ないじゃん、 |
| ゆっくり霊夢 | みんな一緒に下げるんだから、
司法権の独立は侵害しないよってことか。 |
| ゆっくり魔理沙 | 簡単にいうとそういうことだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、実際に2002年には、同じような理屈に基づいて
実際に減額されている。 |
| ゆっくり霊夢 | ああ。 |
| ゆっくり霊夢 | だから『困難が生じている』っていう
体験したような言い方なのか。 |
| ゆっくり霊夢 | 減額できるのは当たり前で、その根拠を
明確にしたいってことなのね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そういうことだろうな。 |
| ゆっくり魔理沙 | でもな、考えてみてほしい。 |
| ゆっくり魔理沙 | 国会議員の報酬ですら、
減額しないという定めはないんだぜ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 現憲法は、裁判官の報酬を減額しないことが、 |
| ゆっくり魔理沙 | それだけ司法権の独立、裁判官の独立にとって
重要と考えていたとみるべきだろ。 |
| ゆっくり霊夢 | でも、デフレで自分の給料が下がっちゃったら、 |
| ゆっくり霊夢 | 公務員だけ給料高いのは、
裁判官とか関係なく不公平って思っちゃうかも。 |
| ゆっくり魔理沙 | そういう考えに至る人も
少なくないのかもしれないな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 法務省の関係者がそれを過激にしたようなコメントを
していたことがあるらしいが、 |
| ゆっくり魔理沙 | 司法権の独立は『裁判所の独立』と『裁判官の独立』の
両輪によって成り立つんだぜ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官個人として独立が保たれるかという視点も
わすれちゃいけない。 |
| ゆっくり魔理沙 | 結局、お金で判断が歪められて困るのは国民だぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | ワイロとかでコロっといっちゃう可能性も防ぐのが
現憲法の趣旨と考えられるのか。 |
| ゆっくり魔理沙 | 生活レベルを上げるのは簡単でも
下げるのは難しいだろ。 |
| ゆっくり魔理沙 | たとえ、十分すぎる額をもらっていたとしても、
現状の報酬よりも減額されれば、 |
| ゆっくり魔理沙 | 不足を感じるのが人間ってもんだし、
裁判官だって人間だからな。 |
| ゆっくり霊夢 | 私も生活レベル上げたいわあ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ちなみに、現憲法でも憲法改正草案でも
『在任中』は下げないとあるから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法の趣旨に反しないように報酬を下げたいなら、 |
| ゆっくり魔理沙 | 法律改正以降に裁判官になる人に向けて減額が適用
されるようにするしかないだろうな。 |
| ゆっくり霊夢 | 裁判官になったときの報酬がスタートだから、なる前
だったら『減額することができない』に反しないのか。 |
| ゆっくり魔理沙 | ちょっと長くなってしまったな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 次へ進もう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 80条1項は最高裁判所以外の下級裁判所の裁判官の任命
や定年について定められている。 |
| ゆっくり霊夢 | 下級裁判所の裁判官も内閣が任命するんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | だけど、最高裁判所の指名した者の名簿から任命する
ことになってるので、 |
| ゆっくり魔理沙 | 実質の選択はほとんど最高裁判所がしていることになる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 任命されたら任期は10年で再任可能。 |
| ゆっくり魔理沙 | あとは、定年が法律で定められるくらいだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 簡易裁判所だけ70歳で、他は65歳が定年になってる。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、2項では、下級裁判所の裁判官も報酬が
減額されないことが定められている。 |
| ゆっくり霊夢 | 最高裁判所と似たような感じだし、
国民審査がない分シンプルになってるよね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、下級裁判所の裁判官の報酬については、 |
| ゆっくり魔理沙 | 一般職の公務員の給与に準じるため、
ややこしい問題が現在進行形で生じている。 |
| ゆっくり魔理沙 | それが『地域手当』だ。 |
| ゆっくり霊夢 | 地域手当って、住んでる場所によって
お金がもらえたりするるの? |
| ゆっくり魔理沙 | その通り。 |
| ゆっくり魔理沙 | 地域手当は地域ごとのクラスに応じて
支給される形になっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、裁判官は顔見知りなどができて不公平な裁判に
ならないように、 |
| ゆっくり魔理沙 | 割と頻繁に勤務地が変わることになっている。 |
| ゆっくり霊夢 | それが関係あるの? |
| ゆっくり魔理沙 | 大ありだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | もし地域手当が高いところから低いところに
変わったとしたら、 |
| ゆっくり魔理沙 | もらえる収入が減ることになるよな? |
| ゆっくり霊夢 | 確かに。 |
| ゆっくり霊夢 | まさか |
| ゆっくり霊夢 | それが報酬の減額になる? |
| ゆっくり魔理沙 | そこが問題になっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、実際にこれが違憲だとして訴えを起こした
裁判官がいるんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | でも、『報酬』って法律で決まってたはずだから、
手当は『報酬』には含まれないんじゃないかなあ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 確かに、シンプルに考えるとそうなるだろうな。 |
| ゆっくり魔理沙 | けど、地域手当は報酬の減額と引き換えに
導入されていることや、 |
| ゆっくり魔理沙 | 実費や一定の金額じゃなく、
基本給に対するパーセンテージで払われる地域手当は、 |
| ゆっくり魔理沙 | 他の通勤手当や住居手当なんかとは異質な手当で、 |
| ゆっくり魔理沙 | 実質的に『報酬』に該当するといえるんじゃないか? |
| ゆっくり霊夢 | そうかも? |
| ゆっくり魔理沙 | まあ他にも争点はあるんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | ってお前他人事に思ってるだろ? |
| ゆっくり霊夢 | そ、そんなことないよお。 |
| ゆっくり魔理沙 | この地域手当の問題は裁判官はもちろん、
適用される公務員、 |
| ゆっくり魔理沙 | ひいては、公務員の地域手当の法律を参考に給与や手当を
決めている民間企業もあるそうなので、 |
| ゆっくり魔理沙 | 実は、多くの国民にとって問題となるものだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 給料が少ない地域では、人手不足も起こるしな。 |
| ゆっくり霊夢 | 確かにそう言われると結構関係ありそう。 |
| ゆっくり魔理沙 | ちなみに、この訴訟は2月9日に名古屋地方裁判所にて
第5回口頭弁論があるそうだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | また、寄付によって訴訟を支援することもできる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 金額を指定すれば500円からできるから、
余裕があれば寄付してあげてくれ。 |
| ゆっくり魔理沙 | この動画の概要欄の引用のところにリンクは貼ってある。 |
| ゆっくり霊夢 | ほんと現在進行形の話だった。 |
| ゆっくり魔理沙 | 私も少ないながら、チャンネルの名前で
寄付しておいたぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | 勝手なことして。 |
| ゆっくり霊夢 | それに、どうせならもっと気の利いた
コメント書けばよかったのに。 |
| ゆっくり魔理沙 | うるさいなあ。 |
| ゆっくり魔理沙 | まあ憲法解説なんてしようと思わなかったら、
気づかなかっただろうから、 |
| ゆっくり魔理沙 | これも何かの縁だろうと思ってな。 |
| ゆっくり霊夢 | マネに怒られるよ? |
| ゆっくり魔理沙 | ま、大丈夫だろ。 |
| ゆっくり魔理沙 | それより、
80条が憲法改正草案でどうなってるか見ていこう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 1項は、任期が法律で定められることになった。 |
| ゆっくり霊夢 | うわ。 |
| ゆっくり霊夢 | また司法権の独立が弱くなってる。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうなんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 任期を短くして、邪魔な裁判官を
排除しやすくできることはもちろんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | これを79条2項で最高裁裁判官の国民審査についての
条件が法律で変えられることを盾に、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国会が、最高裁判所に言うことを
聞かせられやすいことを考えれば、 |
| ゆっくり魔理沙 | 時の政権にとって都合がいい
裁判官を揃えるということが可能になってくる。 |
| ゆっくり霊夢 | 最高裁判所が指名する者の名簿から
裁判官が選ばれるからだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そう。 |
| ゆっくり魔理沙 | そしてさらに、メンバーが揃った段階で任期を長くして、
そのメンバーたちを維持するといったことも可能になる。 |
| ゆっくり霊夢 | もう明らかに裁判所の立場が弱くなってるよね。 |
| ゆっくり魔理沙 | それに加え、2項では、79条5項を下級裁判所の裁判官に
おいても準用されることになるので、 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高裁判所のところでした話と同じように
独立性が弱められるわけだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判官としての立場は国会におさえられ、 |
| ゆっくり魔理沙 | 報酬も直接ではないにしろ内閣におさえられ、 |
| ゆっくり魔理沙 | 法律の違憲審査や行政が裁判の当事者になる場合など、 |
| ゆっくり魔理沙 | 公平な裁判を望むのは難しくなるかもしれないな。 |
| ゆっくり霊夢 | ほんと恐ろしい話だよ。 |
| ゆっくり魔理沙 | じゃあ、81条に進もう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 81条は、『最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は
処分が憲法に適合するかしないかを決定する |
| ゆっくり魔理沙 | 権限を有する終審裁判所である。』と定めている。 |
| ゆっくり霊夢 | これはわかる。 |
| ゆっくり霊夢 | 最高裁判所が、違憲審査のラスボスだよって
言ってるんだよね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 条文では最高裁判所の話しか出てないけど、
違憲審査自体は下級裁判所もできる。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、あくまで最終結論を出せるのは
最高裁判所ってわけだな。 |
| ゆっくり霊夢 | でも、そもそもなんで最高裁判所なの? |
| ゆっくり魔理沙 | それは、最高裁判所が第三者だからだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 法律を作るのは国会だし、
命令や規則を出したり処分するのは内閣だ。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、国会も内閣も当事者なわけだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 当事者だったら、自分の行動に甘くなるのは当然だろ? |
| ゆっくり魔理沙 | なので、第三者である裁判所に違憲審査をさせ、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所の中でも全国の裁判所を統括している最高裁判所に
その最終結論を出させているんだな。 |
| ゆっくり霊夢 | なるほど。 |
| ゆっくり霊夢 | よく何か問題があったときは
『第三者委員会を設置して~』みたいなことあるもんね。 |
| ゆっくり霊夢 | 裁判所が第三者だからって理由は納得だね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただし、違憲審査といえども、
なんでもかんでもできるわけじゃない。 |
| ゆっくり魔理沙 | 違憲審査には限界があるんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | 限界? |
| ゆっくり魔理沙 | まず、違憲審査は具体的な事件で
問題になってはじめてできる。 |
| ゆっくり魔理沙 | このことを『付随的違憲審査制』と言ったりするんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | そういえばそうだね。 |
| ゆっくり霊夢 | 法律が違憲なものなんだったら、最初から違憲審査して
くれれば、そもそも問題になるのを防げるのに。 |
| ゆっくり魔理沙 | そういう制度を『抽象的違憲審査制』といったりする。 |
| ゆっくり魔理沙 | 霊夢の考えに対しては判例がすでに
答えてくれているのでそれを見ていこう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 判例では、世界を見ると、司法裁判所とは別に、 |
| ゆっくり魔理沙 | 事件とは関係なく違憲審査する権限をもった機関が
存在する国もあったりすることを踏まえた上で、 |
| ゆっくり魔理沙 | 日本の場合、裁判所に与えられているのは司法権であり、 |
| ゆっくり魔理沙 | 司法権が発動するためには、
具体的なトラブルがあって、 |
| ゆっくり魔理沙 | それを裁判所に決着つけてもらおうと訴えられることが
必要と言ってるんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | 日本は抽象的違憲審査制じゃなくて
具体的違憲審査制だといってるんだね。 |
| ゆっくり霊夢 | それにしても、 |
| ゆっくり霊夢 | 今までの話で『違憲審査といえば裁判所』
ってイメージがあったけど、 |
| ゆっくり霊夢 | 裁判所とは別のところが
違憲審査やってる国があるのか。 |
| ゆっくり霊夢 | でも、それでも、司法権が具体的事件を
必要とするのはどうして? |
| ゆっくり魔理沙 | それは、そもそも裁判というものが、何かトラブル
があってそれを解決するために行われるものだからだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | トラブルもなくて、当事者もいないのに、
いきなり裁判官が法廷に集まって、 |
| ゆっくり魔理沙 | 『突然ですが、裁判します』 |
| ゆっくり魔理沙 | とされても違和感しかないだろ? |
| ゆっくり霊夢 | ロケ番組で突然クイズはさんでくるような
ノリに聞こえてしまう。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、裁判をする権限である司法権においても、
具体的な事件が必要とされるのは自然な流れだ。 |
| ゆっくり霊夢 | なるほどね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 判例の話に戻るけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所は事件もないのに違憲審査することはできない。 |
| ゆっくり魔理沙 | なぜなら、違憲審査の権限は司法権の範囲において
行使されるからだといっている。 |
| ゆっくり霊夢 | 違憲審査の権限は、独立した権限じゃなくて、
司法権の一部として扱われるのね。 |
| ゆっくり魔理沙 | それと、事件もないのに違憲審査するのは、
三権分立のバランスを考えてもやりすぎだといっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 根拠となる法令があるわけでもないしな。 |
| ゆっくり霊夢 | 具体的な事件が必要とすることで、
三権分立のバランスを保っている部分もあるんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ということで、違憲審査の限界として、
『具体的事件の存在の有無』が挙げられるわけだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 他にも、『高度な政治性』のある国家行為は
裁判所の外にあるとした判例もある。 |
| ゆっくり魔理沙 | これは、衆議院の解散について、69条の場合以外でも
7条を根拠に解散できるという政府の解釈を元に、 |
| ゆっくり魔理沙 | 実際に解散したことが違憲じゃないかと問題になったが、
結局、裁判所は判断を避けたんだったな。 |
| ゆっくり霊夢 | うーむ。 |
| ゆっくり魔理沙 | さらに、障害福祉年金をもらってる人が
児童扶養手当の受給資格の認定を却下され、 |
| ゆっくり魔理沙 | それが25条に反するかどうかが問題になった
堀木訴訟のように、 |
| ゆっくり魔理沙 | 『立法裁量』として審査を避ける
こともたびたびあるな。 |
| ゆっくり霊夢 | うーむ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そういえば、団体内部のルールでの処分について、
そのルールが公序良俗に反しない限り、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所の審判権が及ばないとした判例もあったな。 |
| ゆっくり霊夢 | ねえねえ。 |
| ゆっくり魔理沙 | どうした? |
| ゆっくり霊夢 | 結構違憲審査避けること多くない? |
| ゆっくり霊夢 | 最高裁判所が違憲審査を避けてしまったら、
もう誰も違憲審査してくれないんだよ? |
| ゆっくり魔理沙 | 私に怒られても困るんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 確かに『消極的』という批判は避けられないだろうな。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、裁判所に頼りすぎるのではなく、国民にできる
ことを少しずつでもやっていくことが大事だと思う。 |
| ゆっくり霊夢 | 国民にできることって? |
| ゆっくり魔理沙 | まずは知ること。 |
| ゆっくり魔理沙 | うちのチャンネルの動画だとありがたいけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | それ以外でもいいから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法や法律に関心をもって理解しようとしてほしいんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、おかしな法律なんかがあれば
『それはおかしい』と声をあげること。 |
| ゆっくり魔理沙 | 身近なところだと、そういう情報が発信されてるブログや
YouTubeにコメントでもいいし、 |
| ゆっくり魔理沙 | SNSでもいいと思う。 |
| ゆっくり魔理沙 | 当然、選挙も意思表明のひとつだよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 『おかしい』という声が高まれば、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所が違憲審査をしなくても、
国会が法律を見直すことになるかもしれない。 |
| ゆっくり霊夢 | 結局、国民がしっかり監視して、
声をあげていくことが大事なんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案を見てもらったらわかる通り、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国民が知らない、気づかないことをいいことに |
| ゆっくり魔理沙 | 都合のいいようにしようとする動きは
やっぱり少なくないからな。 |
| ゆっくり魔理沙 | と、いうところで81条の憲法改正草案も
見ていきたいんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 気になるのは『最終的な上訴審裁判所』
ってところだよな。 |
| ゆっくり霊夢 | なんかつい最近見た気がするなあ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 76条2項だろ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そこでは、訴訟を封じて行政不服審査で最終的な結論を
出すことができるようになるかもしれないって話だった。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、今回の81条では、 |
| ゆっくり魔理沙 | 行政処分などについて、裁判所からの違憲審査すらも
完全に封じることもできる可能性があるよな。 |
| ゆっくり霊夢 | もう何回もやってきた
リアクションだけど、 |
| ゆっくり霊夢 | ちょっと文言が変わるだけで |
| ゆっくり霊夢 | そこまで変わってしまうとは。 |
| ゆっくり霊夢 | やっぱりしっかり監視しないとだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | だな。 |
| ゆっくり魔理沙 | じゃあ今回の動画の最後の条文であり、 |
| ゆっくり魔理沙 | 司法の章最後の条文である82条を見ていこう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 82条1項は、『裁判の対審及び判決は、
公開法廷でこれを行ふ。』と定めている。 |
| ゆっくり霊夢 | 対審? |
| ゆっくり魔理沙 | 『対審』とは、対立する当事者が法廷に出頭し、
裁判官の目の前でそれぞれの主張を述べる手続きのこと。 |
| ゆっくり魔理沙 | 『判決』は文字通り判決。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、当事者双方が、
裁判官の前で主張と反論を直接ぶつけ合う裁判と、 |
| ゆっくり魔理沙 | 判決は公開法廷で行うと定めているわけだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、公開の法廷だから、誰でも傍聴できる。 |
| ゆっくり霊夢 | 公開の裁判は人権のところでも言ってたね? |
| ゆっくり魔理沙 | 37条1項のことか? |
| ゆっくり魔理沙 | あれは刑事事件についての話だっただろ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 82条1項は民事も含めた裁判全般が
公開裁判だと言ってるわけだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | もちろん理由は、国民が公平な裁判が行われているか
どうか監視できるようにするためだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、判例ではそれが国民の信頼の確保になると
いっている。 |
| ゆっくり霊夢 | 『ガラス張りの政治』とかいうの聞いたことあるけど、 |
| ゆっくり霊夢 | 裁判は憲法上の制度としてガラス張りなのね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ちなみに、裁判が公開されるから
誰でも傍聴できるって言ったけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 誰かが裁判所に対して傍聴することを権利として
要求できることまで認めたものじゃないし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 法廷でメモをとることを権利として
保障しているものじゃないぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | 傍聴できるけど、
権利ではないのか。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、2項では、1項の例外について定めている。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、非公開にする場合だな。 |
| ゆっくり霊夢 | 『公の秩序又は善良の風俗を害する虞』って何? |
| ゆっくり魔理沙 | うーん。 |
| ゆっくり魔理沙 | 見解が割れるところではあるんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判を公開することで |
| ゆっくり魔理沙 | 審理が円滑に進まなくなったり、当事者の人格や
尊厳が著しく害されるおそれがある場合や、 |
| ゆっくり魔理沙 | 審理内容が著しくわいせつであったり、
社会の一般的な道徳観に強く反する内容である場合 |
| ゆっくり魔理沙 | なんかをいうと思ってくれたらいいかな。 |
| ゆっくり魔理沙 | あと、プライバシーの保護なんかが含まれたりもする。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただし、条文にあるように、 |
| ゆっくり魔理沙 | 政治犯罪、出版に関する犯罪又は憲法第三章で保障する
国民の権利が問題となっている場合は、 |
| ゆっくり魔理沙 | 常に公開しなければならないとされている。 |
| ゆっくり霊夢 | 非公開になるのはかなり例外的なんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | それに、非公開の対象となっているのは
『対審』だけだから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 判決は常に公開しなければならないんだぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | どうしてこれらが絶対公開なの? |
| ゆっくり魔理沙 | 国民にとって特別に大事なことだからだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 人権に関していえば、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国が国民の人権をちゃんと守っているかどうか そのものが問われる事件だし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 政治犯罪は、選挙で誰に投票するか
考えるための重要な判断材料になる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 出版に関する犯罪については、 |
| ゆっくり魔理沙 | 人権の中でも特に重要な、
表現の自由や、知る権利に関わってくる。 |
| ゆっくり魔理沙 | ということで、例外なく公開
としているわけだな。 |
| ゆっくり霊夢 | なるほどね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ここで、
82条が憲法改正草案でどうなってるかみてみよう。 |
| ゆっくり霊夢 | 『対審』が『口頭弁論及び公判手続』に変わってるね。 |
| ゆっくり霊夢 | 何か変わるの? |
| ゆっくり魔理沙 | 変わる可能性はあるな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 『対審』はほぼ『口頭弁論及び公判手続』にあたるけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 本来は、裁判における当事者のやりとり全体を包む
少し広い概念なんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、憲法改正草案で具体的な手続きを挙げたことで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 今ある制度をさらに細かくして、 |
| ゆっくり魔理沙 | 『これは口頭弁論でも公判手続でもないから公開の原則
はあてはまらないよ』 |
| ゆっくり魔理沙 | と非公開になる部分が出てくるかもしれない。 |
| ゆっくり霊夢 | 何かしらを非公開にできる余地を残しているわけね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうだと思う。 |
| ゆっくり霊夢 | ここも変える必要がないと思うから、
なんか気持ち悪いわねえ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そういう違和感を感じとることは大事だと思うぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | いやあ、司法の章も終わったね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ついにここまで来たかって感じだな。 |
| ゆっくり霊夢 | そういえば、衆議院が解散されるってね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうみたいだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | もう判例で違憲判断ができないとされたし、今となっては
当たり前になってるからかあまり言われないけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 本来このタイミングでの解散は
憲法が認めているとはいえないからな。 |
| ゆっくり霊夢 | 69条の話だね。 |
| ゆっくり魔理沙 | しかも、今選挙をすると、予算の成立も遅れて、
国の動き全体が遅れることになるだろう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 勝てると思ったからこのタイミングなんだろうが、 |
| ゆっくり魔理沙 | そんな権限拡大ともいえる勝手な解釈は
許すべきではないと思うし、 |
| ゆっくり魔理沙 | この選挙は国民のためといえるのかどうか、 |
| ゆっくり魔理沙 | そういうことも踏まえて投票してほしいな。 |
| ゆっくり霊夢 | 表面的なわかりやすい『良さそう』だけを
判断基準にしたら良くないね。 |
| ゆっくり霊夢 | 最後までご視聴ありがとうございました。 |
| ゆっくり魔理沙 | それではまた次回! |
| ゆっくり霊夢 | それではまた次回! |
編集後記
今回は司法の章についてまとめましたが、やっぱり一番に思うのは、動画でも触れてましたが、『違憲判断を避ける』ことが多いこと。
日本国憲法上、付随的審査制が採用されていることもあるけど、裁判官は国民から選ばれているわけではないので、どうしても国民の代表者である国会や政治にかかわることは遠慮がちになってしまうのは仕方ないのかもしれません。
「自分たちは国民を守りたいけど、国民に直接選ばれたわけじゃない」
というジレンマがあるのだと思います。
じゃあ、一旦憲法のことは置いておいておくとしたら、
裁判所とは別に『違憲審査機関』をつくろう、という考え方もできると思うのですが、どうなのでしょうか?
つまり、違憲審査をする機関を裁判所とは別に置いて、抽象的審査制にするということです。
これは、成立した法律が、まず違憲審査にかけられることになり、人権保護の観点からは、人権侵害の予防となり、理想的です。
付随的審査制は、具体的な事件があってはじめて審査にはいるので、どうしても被害を受ける生贄?が必要になりますからね。
ただ、問題もあります。
それは、その違憲審査機関をどのように組織するのかということ。
もっというと、違憲審査機関は法令を違憲審査するという強大な権限をもつことになるので、その権限に対してどのようなブレーキをかけていくのかということが大きな問題になると思います。
国会が選ぶ?
それだと違憲審査に遠慮ができてしまうでしょう。
内閣が選ぶ?
これも行政処分の当事者ということもあるし、国会の法律を否定することは、権力のバランスから問題があると思います。
内閣は法令に従って動く必要がありますし?
じゃあ裁判所が選ぶ?
知識などからいっても、ここが一番妥当な気もしますが、国民がほぼ関与しなくなることが気になります。
であれば、国民が直接選ぶ?
これも良さそうですが、違憲審査という専門的な判断をする人をちゃんと選べるかどうかは疑問です。
じゃあ外国はどうなってるのでしょうか?
簡単で申し訳ないですが、国立国会図書館サーチリサーチ・ナビを参考にさせてもらうと、
ドイツでは、連邦憲法裁判所として独立の立場の機関があり、その裁判官は、国会の上下院により、選ばれます。
一部は裁判官経験じゃないとダメとされているのかな?
再任はなしです。
そして、抽象的審査、具体的審査、これに加え憲法異議といって裁判などをやりつくした後、最終手段として直接憲法裁判所に訴えることができるようになっています。
フランスでも、裁判所から独立した「憲法院」という違憲立法審査機関があり、抽象的審査と具体的審査をするようです。
法律の種類ごとに、審査が義務付けられていたり、関係者の申し出によって任意的に審査を受けることもあるようですね。
人選は、大統領、国会の上下院がそれぞれ3名の裁判官を任命する形になっており、再任はなしです(任命裁判官)。
元大統領が終身の裁判官になることがある(当然裁判官)のはおもしろいですね。
イタリアでは、独立しているのかはわかりませんが、憲法裁判所があるようです。
人選は、大統領、議会の両院合同会議、「最高通常裁判機関および最高行政裁判機関」のそれぞれから5名ずつ選ばれ、再任は認められないとのこと。
憲法裁判所は具体的審査、抽象的審査を行うようです。
このように、外国を見ていくと、立法府と行政府、ときには司法府も合わせてそれぞれ人選し、再任できないとすることでバランスを保っているようです。
日本でも、国会、内閣、裁判所がそれぞれ人選して再任なしとすれば、可能なんでしょうかねえ。
まあ、憲法が改正されないと机上の空論なんですけど(笑)
実は、抽象的審査を一切行わない国は、日本をはじめ、アメリカなど少数派のようです。
ただ、アメリカが日本と違うのは、アメリカは積極的に違憲判断が出るらしいし、判例が法律と同じくらいの拘束力を持ちます。
まあ、判例で拘束できるとするのはやりすぎの懸念がありますが、やはり現実的には、裁判所にもっと積極的に違憲審査をするように頑張ってもらうほかないのかもしれません。
サムネイルは今までと同じような感じですね。
もっと見てもらえるように工夫すべきなのかもしれませんが、
正直自分は得意ではないですね。
ここに時間をかける気力もないですし。
自分としては、サムネイル気にするくらいなら、内容に力を入れたいと思ってしまいます。
良いようにいえば、結構職人気質なんですかね?(笑)
残りも少なくなってきたので、とりあえずは最後まで頑張りたいと思います。


