動画概要
はじめに:今回の見どころと全体像
今回は、日本国憲法の中でも日々の生活に直結する「教育・勤労・労働基本権・財産権」を、やさしくかみくだいて一気にたどります。教育を受ける権利(26条)から始まり、働くことに関する権利と義務(27条)、労働三権(28条)、そして財産権(29条)へ――それぞれがどのように私たちの暮らしを支え、どこに限界や注意点があるのか。実例や判例に触れながら、将来の暮らし方にもつながるポイントを整理しました。
教育を受ける権利(憲法26条1項):人格形成の土台と「能力に応じて、ひとしく」
教育は「自分らしさ」を育てるために不可欠
憲法26条1項は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と定めています。学ぶことは単なる知識の取得ではなく、個人が一人の人間・一市民として成長し、自己の人格を実現していくための基盤です。漫画を読める、契約書を読める、社会の出来事を自分のこととして理解できる――その一つひとつが「学んだこと」の積み重ねに支えられています。
「能力に応じて、ひとしく」のほんとうの意味
平等とは「全員に同じものを配る」ことではありません。得意・不得意や必要とする支援は人それぞれ。学びに困りごとのある子にはサポートを、得意分野のある子には伸ばす機会を――それぞれに合った学びを保障することが、結果としての公平につながります。一方で、能力以外の属性で一律に差をつけることは許されません。性別や出身などで不利益な取り扱いをすることは、26条だけでなく14条(法の下の平等)の問題になります。
子どもだけじゃない。大人にもひらかれた学び
学びは子どもに限りません。夜間中学の制度や、生涯学習の理念(教育基本法3条)など、大人が再び学び直す機会も整備されています。人生のどこかで学びを中断していても、再出発の道は開かれています。
教育を受けさせる義務と「無償」の範囲(憲法26条2項)
義務の主体は「子ども」ではなく「保護者」
26条2項は、保護者に対して子どもに普通教育を受けさせる義務を課し、義務教育は無償としています。ここでいう「義務教育の義務」は原則として保護者に向くもので、子ども本人に対する強制ではありません。具体的な運用は法律に委ねられており、学校教育法などで、就学させない場合の措置や例外(心身の状況、経済的困難への援助等)が定められています。
「無償」はどこまで?――授業料が中核
判例上、「無償」は授業料の不徴収を意味します。教科書費や給食費など、授業料以外の部分は直ちに憲法上の無償の対象ではありませんが、就学援助制度などで実務的な支援が講じられています。学びの機会を逃さないためのセーフティネットが、多層的に存在しているイメージです。
教育内容はだれが決める?――国家の関与とその限界、親の自由
学校教育の内容について、一定範囲で国がカリキュラムなどを定める権限を持つことは認められています。ただしそれは、子どもが「自由で独立した人格」として成長するのを妨げない限度にとどまります。親は学校外で何を学ばせるか、どんな学校を選ぶかについて広い自由を持ちます。一方で、最低限の共通知識と学びの水準を確保するため、学校教育の基準は社会全体のルールとして整えられている、という関係です。
勤労の権利と義務(憲法27条):働きたい人が働ける社会へ
「勤労の権利」は具体的な就職請求権ではない
27条1項は、勤労の権利と義務を規定します。ここでいう「権利」は、特定の会社で働かせることを国に直接請求できるような性質のものではありません。理念として、働きたい人が働けるように社会の仕組みを整えることを国に求める――いわば政策的な方向付けです。「社会権」に位置づけられるため、国が環境整備に努めることが中心で、個別の雇用を強制するものではありません。
労働条件の最低基準を法律で(27条2項)
賃金・就業時間・休息などの労働条件の基準は法律で定められます。労働基準法は、その最低ラインを示す最重要法。雇う側と雇われる側の力関係が非対称になりがちな現実の中で、最低限のセーフティを国が明確に引く役割を果たします。
児童の酷使を禁じる(27条3項)――子役はどうなる?
かつては子どもが学校を休んで働かされることも珍しくありませんでした。今は憲法と労働基準法により、義務教育期間中の就労は原則禁止です。ただし子役など、子どもの健康や生活に過度の負担がなく、行政の許可がある場合などは、時間や内容に配慮した例外が認められます。学びと健やかな成長が何より優先されるという考え方が前提にあります。
労働三権(憲法28条):団結・交渉・行動で対等へ
団結権・団体交渉権・団体行動権
労働者が一人では会社と対等に向き合いにくい現実を踏まえ、憲法28条は三つの権利を保障します。①団結権(労働組合をつくり・参加する)、②団体交渉権(賃金や労働条件を話し合う)、③団体行動権(最後の手段としてのストライキ等)。これらを具体化するのが労働組合法・労働基準法・労働関係調整法(「労働三法」)です。
公務員の労働基本権はどうなる?
公務員も原則として労働基本権の射程には入りますが、職務の公共性や国民全体への影響の大きさから、法律で一定の制約が設けられています。特に団体行動権(争議権)は、国家公務員法・地方公務員法で原則禁止。判例も、全面否定は許されないとしつつ、必要やむを得ない限度での制約を合憲としています。社会全体の利益と、働く人の権利のバランスをどう保つか――ここが大きな緊張点です。
外注・フリーランスは「労働者」になり得る?
名目が請負や業務委託でも、実態として企業の組織に組み込まれ、指揮監督のもとに時間・場所の拘束を受け、独自の営業余地が乏しい――という事情がそろえば、労働組合法上の「労働者」に当たると判断されることがあります。形式ではなく実態で見る、という姿勢です。近年はフリーランスをめぐる取引適正化の新法も整備され、保護の輪郭が広がりつつあります。
財産権(憲法29条):自由な所有と公共との折り合い
財産権の中身:物権・債権・無体財産
29条1項は「財産権は、これを侵してはならない」と宣言します。ここでの財産権には、物や権利を直接支配する「物権」(所有権・地上権・抵当権など)、人に一定の行為を請求できる「債権」(賃金請求など)、形はないが価値を持つ「無体財産権」(著作権や特許権など)が含まれます。占有の保護も、取引の安全と生活の安定に資する重要な仕組みです。
公共の福祉による制限(29条2項)と具体例
どれほど私的な所有であっても、周囲の安全や社会全体の利益を大きく損なう使い方は許されません。建築基準法・都市計画法・景観法など、さまざまな法律が「公共の福祉」との調整役を担います。自由な所有と共生のルール――その両立を図るための枠組みです。
公共のための利用と補償(29条3項):「正当な補償」とは
道路や鉄道など、公共のために私有財産を用いる必要があるとき、憲法は「正当な補償」を要件に認めます。補償の理想像としては「完全補償説」(損失が生じないよう全額補填)と「相当補償説」(経済状況等を踏まえ合理的に算出した額で足りる)が議論されてきました。歴史的には、法制度ごとの文脈や経済状況をふまえて線引きされ、実務では個々の事業法(たとえば収用制度)における補償ルールと、憲法原則とのハーモニーで運用されています。また、一般的な制限の範囲を超える「特別の犠牲」がある場合、補償規定が法文上なくても、憲法29条を根拠に補償が認められる可能性が示されています。公共目的と個人の負担との釣り合いを丁寧に測る考え方です。
比較の視点:各国の所有観の違い
国によって所有の考え方は異なります。たとえば土地について国有を原則とする国では、個人がもつのは使用権であることもあります。日本では原則として私的所有が広く認められる一方、公共の福祉との調整や補償のあり方が精密に設計されています。
憲法改正草案の論点:文言の変化がもたらす含意
26条3項の新設趣旨:教育が「国の未来」中心に?
現行の解釈では、教育はまず子どもの利益と人格形成のためのもの、という前提が強く意識されています。改正草案の26条3項は、教育を「国の未来を切り拓く上で欠くことのできないもの」として、国の教育環境整備を促す文言が置かれています。方向としては理解しやすい一方で、教育の主語が「子ども」から「国家」に重心移動するおそれはないか、国家的介入の幅が広がらないか――という視点が論点になります。
28条2項:公務員の労働基本権の制限を明文化することの影響
現行でも法律により公務員の争議行為は制限されています。改正草案では、その制限可能性を明文で掲げる構成です。現状追認に見えますが、「明文化」によってどこまで制約が拡張され得るか、例外が「原則化」しないか、といった懸念が指摘されています。公共の利益と権利保障の均衡を、これからも具体的事案に即して丁寧に点検する必要があります。
29条の文言変更と知的財産の扱い
「侵してはならない」と「保障する」という言い回しの違いは、一見小さくとも、解釈上は射程の広さや制約のフレームに影響しうる微妙なポイントです。さらに「公益及び公の秩序」との関係づけ、知的財産権に対する配慮条項の置き方など、経済活動の自由・創造性の保護と、社会全体の利益の調整をどう図るかという大きな設計思想が問われます。実務的には、通常の立法で機動的に調整できる領域を、憲法のレベルにどこまで格上げするのか――その必要性と副作用を慎重に見極めたいところです。
学びの現場から見える「いま知っておきたい要点」
① 学びは人生のスイッチを増やす
教育は職業だけでなく、人間関係・市民生活・趣味や創作など、人生の選択肢を広げます。「読む・書く・考える・伝える」の力は、困難に出会ったときに立ち上がるための道具箱になります。
② 働くルールは最低ラインを守るためにある
労働基準法は「最大限の権利」ではなく「最低限の基準」。交渉で上げていく余地、職場で協力して変えていく余地は必ずあります。声を合わせるための器が、労働組合であり、労働三権です。
③ 公共との折り合いは、透明性と納得感がカギ
所有の自由は最大限尊重されるべきですが、隣人・地域・社会もまた生活しています。公共の福祉による制限や補償の手続は、なぜ必要なのか、どう公平なのか、説明可能性が命です。
④ 文言の変化は「解釈の景色」を変える
憲法の言い回しは、現場の運用に長く効いてきます。良かれと思っての明文化が、いつしか歯止めを弱める結果にならないか――そんな「副作用」まで見通す視点が重要です。
まとめ
教育・勤労・労働基本権・財産権は、教室や職場、家庭や地域の「いま」に直結しています。学びは人格形成のエンジンであり、働くルールは暮らしの最低ラインを守るための盾。財産権は自由な生活設計の核ですが、公共の福祉とどう折り合うかがつねに問われます。どの条文にも共通しているのは、「個人の尊重」を軸にしつつ、社会全体の利益と丁寧に均衡を取るという姿勢です。文言の小さな違いが、将来の運用や解釈に大きな影響を与えることもあります。だからこそ、制度の狙いと限界、そして手続の公正さを、私たち自身が理解し、問い直し続けることが大切です。今回の内容が、学び直しや働き方の見直し、そして暮らしの設計をアップデートするきっかけになれば幸いです。
動画テキスト
キャラクター | セリフ |
ゆっくり魔理沙 | じゃあ前回から引き続いて憲法解説
していくぜ。 |
ゆっくり霊夢 | 今回は何条まで進めるんだろう? |
ゆっくり魔理沙 | 憲法26条1項は、 |
ゆっくり魔理沙 | 『すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に
応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。』 |
ゆっくり魔理沙 | となっている。 |
ゆっくり魔理沙 | 教育を受ける権利について定められているんだ。 |
ゆっくり霊夢 | 勉強嫌だったけど、勉強できることは権利だったんだね。 |
ゆっくり魔理沙 | そうだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 判例でも、『国民各自が、一個の人間として、また、
一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、 |
ゆっくり魔理沙 | 実現するために必要な学習をする固有の権利を有する』
の述べられている。 |
ゆっくり魔理沙 | 要するに、楽しい人生を謳歌するには、
勉強は必要なんだよ。 |
ゆっくり魔理沙 | 極端な例だけど、霊夢が好きな漫画が読めるのも、
国語で文字を習ったからだろ? |
ゆっくり霊夢 | 確かに。 |
ゆっくり魔理沙 | まあ、霊夢が勉強は嫌だと言ったように、 |
ゆっくり魔理沙 | まだ未熟な子供は自分で学ぶという選択をするのも
難しいし、 |
ゆっくり魔理沙 | 親の方針によって、教育を受ける機会が得られないかも
しれない。 |
ゆっくり魔理沙 | だから、この教育を受ける権利は、子供の場合、 |
ゆっくり魔理沙 | 自分に教育を施すことを大人一般に対して要求する権利
でもあると考えられている。 |
ゆっくり霊夢 | なるほど、子供の権利といえるのね。 |
ゆっくり魔理沙 | もちろん、子供がメインの話にはどうしてもなるけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 26条は別に子供に限ってるわけないから、大人にも
教育を受ける権利はあるぜ。 |
ゆっくり魔理沙 | 例えば、何らかの理由で中学校を卒業できなかった人や、
十分な教育を受けられなかった人のために、 |
ゆっくり魔理沙 | 夜間中学校という制度があったりもするんだ。 |
ゆっくり霊夢 | そういうのがあるんだ。 |
ゆっくり魔理沙 | それに、教育を受ける権利の法律へのあらわれとして、 |
ゆっくり魔理沙 | 教育基本法3条では、生涯にわたって学習できるように
することが理念とされていて、 |
ゆっくり魔理沙 | 決して子供には限っていないんだ。 |
ゆっくり霊夢 | 生涯勉強かあ。 |
ゆっくり魔理沙 | まあ、大人になったら勉強するかどうかは
自己判断だろうけどな。 |
ゆっくり霊夢 | ところで、『能力に応じて、ひとしく』って
どういう意味? |
ゆっくり霊夢 | 能力に応じるってことは、同じ内容ではないでしょ? |
ゆっくり魔理沙 | そりゃ、勉強が得意な子がいれば苦手な子もいて、
子供ひとりひとり能力は違うからな。 |
ゆっくり魔理沙 | そんな能力の違う子供たちに、まったく同じ教育を
するのは、かえって不公平な場合もある。 |
ゆっくり魔理沙 | 14条のところでも似たような話しただろ。 |
ゆっくり魔理沙 | みんなに『同じもの』を与えるのが平等じゃなくて、 |
ゆっくり魔理沙 | その人に必要なものを与えるのが
ほんとの平等ってことだ。 |
ゆっくり霊夢 | 例えば、勉強が苦手な子にはサポートを、
得意な子には伸ばす機会を、みたいな? |
ゆっくり魔理沙 | そういうこと。 |
ゆっくり魔理沙 | 高校受験とか考えるとわかりやすいよな。 |
ゆっくり魔理沙 | 試験に合格しないと通えないけども、中学を卒業する
人みんなに受験をする機会がある。 |
ゆっくり霊夢 | 確かに。 |
ゆっくり霊夢 | 勉強できない子が勉強できる高校に行ったりしたら、 |
ゆっくり霊夢 | ついていけなくなって結局ドロップアウト、 |
ゆっくり霊夢 | なんてことになってしまいやすいものね。 |
ゆっくり魔理沙 | そういうことだ。 |
ゆっくり魔理沙 | ただし、能力以外で差をつけるようなことがあったら、 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法26条1項はもちろん、14条の法の下の平等の問題
にもなりうる。 |
ゆっくり魔理沙 | だから、2018年に東京医科大が女子受験者の得点を
一律に減点し、 |
ゆっくり魔理沙 | 合格者数を抑えていたことが発覚し、問題になった。 |
ゆっくり霊夢 | そんなことがあったの? |
ゆっくり魔理沙 | ああ。 |
ゆっくり魔理沙 | 『能力』ではなく、女性という属性による差別だ。 |
ゆっくり霊夢 | せっかく目標のために努力してたはずなのに、これは
やるせないよ。 |
ゆっくり魔理沙 | そうだよな。 |
ゆっくり魔理沙 | それで、損害賠償訴訟が起こされ、 |
ゆっくり魔理沙 | 教育基本法4条1項や憲法14条1項の趣旨に反するとして、
不法行為を認定し、損害賠償の支払いが命じられた。 |
ゆっくり霊夢 | 当然だよね。 |
ゆっくり魔理沙 | とまあ、こんな感じで1項は教育を受ける権利が
書かれていたわけだけど、 |
ゆっくり魔理沙 | これに対して、2項では、 |
ゆっくり魔理沙 | 『すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護
する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。 |
ゆっくり魔理沙 | 義務教育は、これを無償とする。』 |
ゆっくり魔理沙 | となっていて、教育を受けさせる義務について
定められている。 |
ゆっくり霊夢 | 義務教育の『義務』って私じゃなくて、親に向いたもの
だったんだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 確かに『義務教育』って言葉だけ聞くと、そういう
勘違いが起こりそうだな。 |
ゆっくり霊夢 | 昔は親に、『子供は勉強するのが仕事』
って言い聞かせられてたから余計だよ。 |
ゆっくり魔理沙 | 確かに私もよく言われたな。 |
ゆっくり霊夢 | じゃあ、小学校や中学校に通わせないと、親は憲法違反
になるの? |
ゆっくり魔理沙 | まあ、そういうことになるんだろうが、
憲法違反を罰する規定はない。 |
ゆっくり魔理沙 | 26条2項は『法律の定めるところにより』
となっていて、 |
ゆっくり魔理沙 | 具体的な部分は法律に委ねている。 |
ゆっくり魔理沙 | そして、親が義務を果たさない場合には、 |
ゆっくり魔理沙 | 学校教育法144条1項で
罰金になる可能性はある。 |
ゆっくり魔理沙 | この罰金を受けるということは、
憲法違反の状態にもなっているということだ。 |
ゆっくり霊夢 | なんかややこしいね。 |
ゆっくり魔理沙 | ちなみに、 |
ゆっくり魔理沙 | 子供の心身が理由で通えない場合は、義務を猶予
したり免除したりできるし、 |
ゆっくり魔理沙 | 経済的な理由の場合は援助を
与えられなければならないと市町村に義務を課している。 |
ゆっくり霊夢 | でも、『義務教育は、これを無償とする』って憲法が
言ってるんだから、経済的理由は関係ないんじゃない? |
ゆっくり魔理沙 | 教育がタダでも、生活に困るくらいだったら
学校なんて行ってられないだろ。 |
ゆっくり霊夢 | それもそっか。 |
ゆっくり魔理沙 | それに『無償』っていっても、
なんでもかんでもタダになるわけじゃない。 |
ゆっくり魔理沙 | 判例によると、26条2項の『無償とは授業料不徴収
の意味と解する』とされた。 |
ゆっくり魔理沙 | つまり、授業料以外の教科書代や給食費は無償に
しなくても憲法違反にはならないんだ。 |
ゆっくり魔理沙 | また、同じ判例の中で、憲法は教育を受けさせる義務を
強制しているから、教科書などの費用の負担についても、 |
ゆっくり魔理沙 | できるだけ軽減するよう配慮、努力することが望ましい
けども、立法政策の問題として解決すべきとしている。 |
ゆっくり霊夢 | 授業料以外は、国がどれだけ出す気が
あるかにかかっているってことね。 |
ゆっくり魔理沙 | お金も無限にあるわけじゃないからな。 |
ゆっくり魔理沙 | とはいえ、実際には、 |
ゆっくり魔理沙 | 学校教育法19条によって、各市町村が就学援助制度を
実施しているし、 |
ゆっくり魔理沙 | 基本的には問題はないはずだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 教科書代だって法律によって無料になっているしな。 |
ゆっくり霊夢 | そっか、よかった。 |
ゆっくり霊夢 | ところで、教育教育って言ってるけど、 |
ゆっくり霊夢 | 教育の中身って国が決めてるよね? |
ゆっくり霊夢 | 親は教育を受けさせる義務があるのに、教育内容を
決めることはできないの? |
ゆっくり魔理沙 | そんなことはないけども、学校教育の内容に関しては、 |
ゆっくり魔理沙 | 必要かつ相当と認められる範囲においては、国が教育内容
を決める権能をもっていると解釈するのが判例だ。 |
ゆっくり魔理沙 | ただし、間違った知識や偏った考え方を子供に植え付ける
ような内容の教育を施すなど、 |
ゆっくり魔理沙 | 子供が自由かつ独立の人格として成長することを妨げる
ような国家的介入は、 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法26条や13条から許されないとされる。 |
ゆっくり霊夢 | じゃあ、親は教育を受けさせる義務が一方的に課される
だけってこと? |
ゆっくり魔理沙 | いや、判例は、親は学校以外では何を教えるかは
自由だし、 |
ゆっくり魔理沙 | どういう学校を選ぶかも自由でしょ、と言っている。 |
ゆっくり魔理沙 | 結局、教育の内容を親や個人にバラバラに任せてしまう
と、社会に必要な最低限の共通知識が身につかない。 |
ゆっくり魔理沙 | だから、教育方針は国がまとめて決めるというのも
仕方ないよね、という感じだ。 |
ゆっくり霊夢 | 確かに、最低限の内容を勉強できないと
後で子供自身が大変だもんね。 |
ゆっくり魔理沙 | 納得してもらえたようでなにより。 |
ゆっくり魔理沙 | で、26条が憲法改正草案でどうなってるかなんだけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 今までの条文については、
大きな変更はない。 |
ゆっくり霊夢 | そうなんだ。 |
ゆっくり霊夢 | 結構手を付けたそうなところなのに。 |
ゆっくり霊夢 | うん? |
ゆっくり霊夢 | 今までの条文については? |
ゆっくり魔理沙 | ただ、3項が追加されているぜ。 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案の26条3項は、 |
ゆっくり魔理沙 | 『国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことの
できないものであることに鑑み、 |
ゆっくり魔理沙 | 教育環境の整備に努めなければならない』 |
ゆっくり魔理沙 | としている。 |
ゆっくり霊夢 | まあ、別に変なところは、なくない? |
ゆっくり魔理沙 | いやいや、この3項はかなりの曲者で、 |
ゆっくり魔理沙 | 現在教育は、判例の言葉を借りるならば、 |
ゆっくり魔理沙 | 『子どもの利益』のためのもので、 |
ゆっくり魔理沙 | つまり、個人のためのものだ。 |
ゆっくり魔理沙 | しかし、3項では、『教育が国の未来を切り拓く上で欠く
ことのできないもの』として、 |
ゆっくり魔理沙 | 国の未来のためのものだと明言してしまっているんだ。 |
ゆっくり霊夢 | それが良くないの? |
ゆっくり魔理沙 | 確かに、教育は国のためになる部分もあるだろうけど、 |
ゆっくり魔理沙 | さっきも言った通り、 |
ゆっくり魔理沙 | 判例においても国が教育に介入するのは、
あくまで子供の利益のためだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案の3項は、
この今までの前提を覆すことを明言していることになる。 |
ゆっくり魔理沙 | そして、3項のねらいは、 |
ゆっくり魔理沙 | 国の未来を切り拓くための教育を受けさせる教育環境の
整備が憲法違反にならないばかりか、 |
ゆっくり魔理沙 | むしろ憲法上義務となることにあると思われる。 |
ゆっくり霊夢 | 国が望む教育を受けさせる環境を整えないことのほうが
憲法違反になるわけね。 |
ゆっくり魔理沙 | 判例では、教育は政治的利害などに
支配されるべきではないと言っているのに、だぜ。 |
ゆっくり霊夢 | 3項は思っている以上に
やばい追加なのかも。 |
ゆっくり魔理沙 | 今までの憲法改正草案の話のときも言ってきたように、 |
ゆっくり魔理沙 | ますます大日本帝国憲法時代に戻そうとしている意図が
うかがえるのが、この26条の3項だ。 |
ゆっくり魔理沙 | なんせ、前憲法のときは、憲法に教育について権利
としての定めはなく、 |
ゆっくり魔理沙 | 天皇への忠誠など、天皇と国に役立つ国民を育てる教育
をしてきたのが、 |
ゆっくり魔理沙 | 前憲法下の教育だったからな。 |
ゆっくり霊夢 | 今までを振り返っても、 |
ゆっくり霊夢 | 国民を国の自由にしてしまおうって感じがひしひし
伝わってくるね。 |
ゆっくり魔理沙 | 26条はこのあたりにして、次の条文に進もう。 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法27条1項は国民に勤労の権利があり、
義務を負うことについて定められている。 |
ゆっくり霊夢 | 働くのが権利? |
ゆっくり霊夢 | できたら働きたくないんですけど。 |
ゆっくり魔理沙 | とりあえず、霊夢みたいに働きたくない人は
置いておいて。 |
ゆっくり魔理沙 | 勤労の権利というのは、 |
ゆっくり魔理沙 | 働きたい人がきちんと働けるように
国が環境を整えないといけない、というものだ。 |
ゆっくり霊夢 | なんか権利っぽくないなあ。 |
ゆっくり魔理沙 | 『権利』とは言っているものの、内容は国の義務と
とらえた方がわかりやすいかもしれない。 |
ゆっくり霊夢 | じゃあ、私の条件にあった働き口がなかった場合、
国に文句言えるってこと? |
ゆっくり魔理沙 | そんなわけないだろ。 |
ゆっくり魔理沙 | 国の義務みたいなものとは言ったけども、 |
ゆっくり魔理沙 | 『勤労の権利があるんだから
⚪︎⚪︎会社で働かせろ』とか |
ゆっくり魔理沙 | 『公務員として雇え』 |
ゆっくり魔理沙 | みたいに具体的に権利主張できる類の
権利ではないとされているし、 |
ゆっくり魔理沙 | 国がそこまでの義務を果たさないと
いけないわけでもない。 |
ゆっくり魔理沙 | 25条の生存権のように、国が何かを与えたり整えたり
するタイプのいわゆる『社会権』に属する権利だからな。 |
ゆっくり魔理沙 | というか、 |
ゆっくり魔理沙 | 公務員はさておいても、 |
ゆっくり魔理沙 | そもそも会社が、
国に誰を雇うか強制される言われはないでしょ。 |
ゆっくり霊夢 | それはそう。 |
ゆっくり魔理沙 | なので、勤労の権利というのは、 |
ゆっくり魔理沙 | 国が法律などで、環境を整えるように努力することを
要請するものだと思ったほうがいい。 |
ゆっくり霊夢 | なるほどね。 |
ゆっくり魔理沙 | あと、もう忘れてるかもしれないけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 27条には『勤労の義務』も書いてある。 |
ゆっくり霊夢 | 忘れたわ。 |
ゆっくり霊夢 | この義務って、働いてなかったら
働くように強制されるの? |
ゆっくり魔理沙 | それならニートが100万人近くもいたりしないだろ。 |
ゆっくり魔理沙 | そもそも憲法18条では『意に反する苦役』
はさせられないとなっている。 |
ゆっくり魔理沙 | だから、この『義務』は罰則などで働くことを
強制されるというものではなく、 |
ゆっくり魔理沙 | 国民は可能な限り、社会の一員として働くことが
期待されているという理念的な義務であると、 |
ゆっくり魔理沙 | 一般的には解釈されている。 |
ゆっくり霊夢 | 自転車でヘルメットかぶる義務みたいなもんか。 |
ゆっくり魔理沙 | 意味合いは違うと思うけど、まあ似たようなもんか。 |
ゆっくり魔理沙 | 続いて、憲法27条2項では、 |
ゆっくり魔理沙 | 『賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は
法律でこれを定める』とされているな。 |
ゆっくり魔理沙 | これは、労働条件の最低基準を国が法律で定めるべきこと
を規定したものだ。 |
ゆっくり霊夢 | わかった。 |
ゆっくり霊夢 | この条文から労働基準法が出てくるわけでしょ? |
ゆっくり魔理沙 | その通り。 |
ゆっくり魔理沙 | 雇う側である『使用者』と雇われる側である『労働者』。 |
ゆっくり魔理沙 | 本来は対等な関係のはずだけど、どうしても労働者側
の立場が弱くなりがちだ。 |
ゆっくり霊夢 | そうだよなあ。 |
ゆっくり霊夢 | 労働者は使用者からお金貰って、それで生活しなきゃ
いけないわけだし。 |
ゆっくり魔理沙 | そこで、使用者が労働者の足元をみて、 |
ゆっくり魔理沙 | めちゃくちゃな労働条件で
こきつかったりすることがないように、 |
ゆっくり魔理沙 | 労働条件の基準は法律でつくることを憲法で
定めているんだ。 |
ゆっくり魔理沙 | そして、その代表的な法律が労働基準法
になるわけだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 労働基準法は1条を見てもらえばわかるように、 |
ゆっくり魔理沙 | 最低限の基準を定めたものになっている。 |
ゆっくり霊夢 | 27条2項は労働者を守るための条文なんだね。 |
ゆっくり魔理沙 | 次の27条3項は、子供を守るための条文だ。 |
ゆっくり魔理沙 | 昔は、幼い子供だろうと働かされて
いたこともあったんだ。 |
ゆっくり魔理沙 | しかも、忙しいときは
学校を休ませてでも働かせていたらしい。 |
ゆっくり霊夢 | 今だと考えられないね。 |
ゆっくり魔理沙 | それはこの27条3項のおかげだろうな。 |
ゆっくり魔理沙 | そして、労働基準法56条1項では、 |
ゆっくり魔理沙 | 『使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月
三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。』 |
ゆっくり魔理沙 | として、義務教育の間に働かせることを原則禁止にした。 |
ゆっくり霊夢 | 子供の仕事は勉強ってことだね。 |
ゆっくり霊夢 | あっ、でも、 |
ゆっくり霊夢 | 芸能界の子役とかってどうなの? |
ゆっくり霊夢 | 小さいときから働いてるじゃない? |
ゆっくり霊夢 | あれは違法じゃないの? |
ゆっくり魔理沙 | 子役については、条件付きで可能となっている。 |
ゆっくり魔理沙 | 児童の健康や健やかな生活・幸福を脅かすものでなく、
労働が心身に過度に負担をかけないものであれば、 |
ゆっくり魔理沙 | 行政官庁の許可をもらって、
学校の時間外に働いてもらうことはできる。 |
ゆっくり霊夢 | まあ、ドラマで子供が必要な場面もあるだろうしねえ。 |
ゆっくり霊夢 | でも、子役が幸せを脅かすものじゃないというのは
微妙じゃない? |
ゆっくり霊夢 | 子役の仕事で大金が入って、子供の性格が悪くなったり、
親がお金でもめて離婚してって話も聞いたことあるし。 |
ゆっくり魔理沙 | それは、子役の仕事自体というより、親側が
良くなかった、ということにしておこう。 |
ゆっくり霊夢 | ところで、この27条も憲法改正草案で
何か変わってるの? |
ゆっくり魔理沙 | いや、ほとんど変わらずで、 |
ゆっくり魔理沙 | 3項が『何人も、児童は酷使してはならない』
となった程度だ。 |
ゆっくり魔理沙 | だが、公益及び公の秩序で勤労の権利が制限される
可能性は十分にあることは忘れてはならない。 |
ゆっくり霊夢 | 『公益及び公の秩序』の話を知らない、忘れたって
いう場合はこの動画を見てね。 |
ゆっくり魔理沙 | この動画からはじめて見るって人もいるだろうしな。 |
ゆっくり魔理沙 | じゃあ、次の28条に進もう。 |
ゆっくり魔理沙 | 28条は、『勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の
団体行動をする権利は、これを保障する』 |
ゆっくり魔理沙 | と定められている。 |
ゆっくり霊夢 | ええと、ストライキする権利ってこと? |
ゆっくり魔理沙 | ああ、そういう権利だな。 |
ゆっくり魔理沙 | 実は、この条文には労働者が自分たちを守るために
にとって大事な3つの権利が定めてあるんだぜ。 |
ゆっくり魔理沙 | 労働基本権や労働三権といって、 |
ゆっくり魔理沙 | 団結権、団体交渉権、団体行動権の3つだ。 |
ゆっくり魔理沙 | それぞれ説明していくぜ。 |
ゆっくり霊夢 | はい。 |
ゆっくり魔理沙 | 団結権とは、使用者と対等な立場に立つために団体を
結成、そして加入することができる権利だ。 |
ゆっくり魔理沙 | 大きな会社だと、労働組合があったりするよな。 |
ゆっくり霊夢 | そういうの聞くことはあるけど、そんな組合がある
ようなところで働いたことないし、ピンとはこないな。 |
ゆっくり魔理沙 | 27条のところでも言ったように、労働者1人1人は
使用者に対してどうしても立場的に弱い。 |
ゆっくり魔理沙 | だから、会社に対しても『給料あげてくれ』とか、
意見を通しづらい。 |
ゆっくり魔理沙 | それでクビになったりしたら
生活にも関わるしな。 |
ゆっくり魔理沙 | そこで、労働者が集まって団体を作ることで、会社に
意見を通しやすいようにするわけだな。 |
ゆっくり魔理沙 | この団体はほぼ労働組合だと
思ってもらったらいいと思う。 |
ゆっくり魔理沙 | 労働組合については、労働組合法でしっかり
定められているしな。 |
ゆっくり魔理沙 | さっきも言ったように会社側も労働者1人なら無視
できても、 |
ゆっくり魔理沙 | 何人も集まった労働組合のような団体からの意見なら
無視しづらいものだ。 |
ゆっくり魔理沙 | みんなで示し合わせて会社に一斉にこなくなると、
会社回らなくなる危険もあるし。 |
ゆっくり霊夢 | 赤信号、みんなで渡れば怖くないってね。 |
ゆっくり魔理沙 | それはみんな一緒に轢かれるだけだと思うぞ。 |
ゆっくり魔理沙 | そして、団体交渉権は、労働者による団体が労働条件など
について使用者と交渉する権利のことだ。 |
ゆっくり霊夢 | 意見を通そうと交渉することも権利なのね。 |
ゆっくり魔理沙 | 団結権だけ保障されても、 |
ゆっくり魔理沙 | 使用者が交渉に応じなければ、
ただ慰め合う集団になってしまうかもしれないからな。 |
ゆっくり魔理沙 | 労働組合法では、 |
ゆっくり魔理沙 | 労働組合が使用者側と交渉の結果、労働協約
というものが結ばれ、 |
ゆっくり魔理沙 | 労働協約に定める労働条件や待遇の基準に違反する
労働契約は無効となる。 |
ゆっくり霊夢 | でも、使用者側が交渉して素直に労働者側が希望する条件
を認めてくれるもんかなあ? |
ゆっくり魔理沙 | そういう場合の団体行動権だ。 |
ゆっくり魔理沙 | これは、霊夢が言っていたストライキする
権利でもあるんだぜ。 |
ゆっくり魔理沙 | 労働者にとっては最後の手段だな。 |
ゆっくり霊夢 | ストライキする権利も憲法で保障されているんだね。 |
ゆっくり魔理沙 | ただ、制限なくストライキがオッケーとなると、
社会が混乱するので、 |
ゆっくり魔理沙 | できるだけ平和的に解決するように促す法律として、
労働関係調整法がある。 |
ゆっくり霊夢 | そりゃ電気やガスがしょっちゅうストライキで
止まったりしたら困るもんね。 |
ゆっくり魔理沙 | ちなみに、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法
は、 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法27条2項の基準や、28条の権利を具体化するための
基本的な労働関係の法律として、 |
ゆっくり魔理沙 | まとめて『労働三法』と呼ばれることもある。 |
ゆっくり霊夢 | 3に縁があるねえ。 |
ゆっくり魔理沙 | 話を憲法28条に戻して、 |
ゆっくり魔理沙 | 労働基本権は、公務員の場合は制限
される場合がある。 |
ゆっくり霊夢 | そうなの? |
ゆっくり魔理沙 | 判例は、全農林警職法事件において、 |
ゆっくり魔理沙 | 公務員も『自己の労務を提供することにより生活の資を
得ているものである点において |
ゆっくり魔理沙 | 一般の勤労者と異なるところはない』から、 |
ゆっくり魔理沙 | 28条の労働基本権の保障が及ぶと解釈している。 |
ゆっくり魔理沙 | ただ、労働基本権は守られることがゴールじゃなく、
あくまで労働者の経済的地位向上のための手段だから、 |
ゆっくり魔理沙 | 国民全体の共同利益を考えると制約を免れないといい、 |
ゆっくり魔理沙 | 公務員の使用者は憲法15条で示すように国民全体であり、 |
ゆっくり魔理沙 | 労働基本権を一切合切否定することは許されないけども、 |
ゆっくり魔理沙 | 公務員の地位の特殊性と職務の公共性を考えると、 |
ゆっくり魔理沙 | 公務員の労働基本権に対し必要やむを得ない限度の制約
を加えることは、十分合理的な理由があると言っている。 |
ゆっくり霊夢 | 公務員の使用者は私だ。 |
ゆっくり魔理沙 | 国民全体な。 |
ゆっくり魔理沙 | そして、 |
ゆっくり魔理沙 | 公務員の労働基本権については、各法律などをふまえる
とこのようになっている。 |
ゆっくり魔理沙 | 公務員だと、争議権、つまり団体行動権は認められて
ないな。 |
ゆっくり魔理沙 | それは国家公務員法や地方公務員法で明記されている。 |
ゆっくり霊夢 | ゴミ回収されないとかなったら困るしね。 |
ゆっくり魔理沙 | そういえば、 |
ゆっくり魔理沙 | 労働者じゃなくても労働者とされる場合もあるんだぜ。 |
ゆっくり霊夢 | え?どういうこと? |
ゆっくり魔理沙 | 使用者と労働者という関係にするなら雇用契約
を結ぶはずなんだけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 形は事業者が事業者に業務を依頼するという
業務委託契約や請負契約を結んでおいて、 |
ゆっくり魔理沙 | 実際は『これ、従業員みたいなもんじゃね?』と思わず
にはいられないことがあるんだ。 |
ゆっくり魔理沙 | つまり、外部に仕事を発注して、それを受けた『外注』
の人を労働者のように働かせるわけだな。 |
ゆっくり魔理沙 | 例えば、建設業界における『常用』や『一人親方』でも
当てはまる場合がある。 |
ゆっくり魔理沙 | 外注だと、法律上は労働者じゃないから、
労働三法の保護は受けられないことになる。 |
ゆっくり霊夢 | 法律上は労働者じゃないのに
労働者として使える |
ゆっくり霊夢 | それだと、会社側が労働基準法を無視して人を使ったり、
ストライキとか余計なリスクを負わなくて済むように |
ゆっくり霊夢 | 積極的に雇用契約を避けて外注を
選んだりするようになるんじゃないの? |
ゆっくり魔理沙 | そうだろうな。 |
ゆっくり魔理沙 | この点について、このような外注は労働組合法上の
『労働者』にあてはまるのかが問題になった判例がある。 |
ゆっくり魔理沙 | その判例では、外注の人たちが事業の遂行に不可欠
な労働力として会社の組織に組み込まれていたこと、 |
ゆっくり魔理沙 | 会社側が、外注の人たちとの間の契約内容を一方的に
決めていたこと、 |
ゆっくり魔理沙 | 外注の人たちの報酬が労務の提供としての性質があった
こと、 |
ゆっくり魔理沙 | 基本的に会社側の依頼に外注の人たちが応じるべき関係
にあったこと、 |
ゆっくり魔理沙 | 外注の人たちは会社側の指定する業務遂行方法に従い、
その指揮監督のもとに労務の提供を行っており、 |
ゆっくり魔理沙 | かつ、業務について場所的にも時間的にも一定の拘束を
受けていたこと、 |
ゆっくり魔理沙 | 外注の人たちは独自の営業活動を行う時間的余裕は乏しい
と思われ、実際営業がほとんどできていなかったこと、 |
ゆっくり魔理沙 | 以上を総合的に考えると、外注の人は会社との関係に
おいて、労働組合法上の労働者に当たるとしたんだ。 |
ゆっくり霊夢 | テキストが顔にあたってかゆい。 |
ゆっくり霊夢 | 労働者かどうかは、契約という形じゃなくて、
実際の働き方、中身で判断されるんだね。 |
ゆっくり魔理沙 | そう。 |
ゆっくり魔理沙 | もう、『うちの従業員じゃなくて外注だから』っていう
言い訳は通用しなくなったんだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 最近は立場の弱い外注の人、今風にいうと
『フリーランス』が増えたこともあって、それを保護する |
ゆっくり魔理沙 | 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律も
2024年に施行された。 |
ゆっくり魔理沙 | ただ、これは取引の適正化を図るのが主な目的なので、 |
ゆっくり魔理沙 | 労働基準法のように
働き方まで保障しているわけじゃない。 |
ゆっくり魔理沙 | これからどのように保護が広がっていくのかは
要注目だな。 |
ゆっくり霊夢 | 好きでフリーランスになった人ばかりじゃないだろうから
なんらかの形で守ってあげてほしいね。 |
ゆっくり魔理沙 | じゃあ、28条は憲法改正草案では
どうなってるんだろうか? |
ゆっくり霊夢 | そんなに変わってないんじゃないかなあ? |
ゆっくり魔理沙 | 確かに、基本的には変わってない。 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案28条1項は |
ゆっくり魔理沙 | 『勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動を
する権利は、保障する。』 |
ゆっくり魔理沙 | となっていて、 |
ゆっくり魔理沙 | 現在の憲法28条とほとんど変わっていない。 |
ゆっくり霊夢 | 待って。1項ってことは? |
ゆっくり魔理沙 | 2項が追加されている。 |
ゆっくり魔理沙 | 2項は、公務員の労働基本権を全部又は一部制限できる
内容になっている。 |
ゆっくり霊夢 | 公務員がヤバくなってるのか。 |
ゆっくり魔理沙 | その通り。 |
ゆっくり魔理沙 | 自民党は現憲法下でも公務員の労働基本権が制限されて
いることから、 |
ゆっくり魔理沙 | それを明文の規定として置いたと説明しているが、 |
ゆっくり魔理沙 | この明文を置くのが大問題なんだ。 |
ゆっくり霊夢 | 現状に合わせて憲法を変えるわけだから、一見問題ない
ように思えるけど。。。 |
ゆっくり魔理沙 | 明文による規定が置かれたということは、労働基本権が
どんなに制限されても文句はいえないということだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 現憲法下では、さっき出てきた
全農林警職法事件みたいに、 |
ゆっくり魔理沙 | 公務員というだけで『一切の労働基本権を
否定することは許されない』されているんだけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案の28条2項はでは、 |
ゆっくり魔理沙 | 法律さえつくれば、公務員の労働基本権の
全部を制限することができることになる。 |
ゆっくり霊夢 | なんか前にも似たようなことあったような。 |
ゆっくり魔理沙 | 現状がこうなってるから、憲法でもそうしておこうと
いうのは、結構問題があることが多い。 |
ゆっくり魔理沙 | 現状が例外的な取り扱いの
場合もあるからな。 |
ゆっくり魔理沙 | 例外なことを憲法化してしまうと、 |
ゆっくり魔理沙 | 本来例外だったことが当然のこととなり、
それに対して文句もいえなくなる可能性すらある。 |
ゆっくり魔理沙 | すべてのことに当てはまるわけではないが、
ほとんどの場合において、 |
ゆっくり魔理沙 | 現憲法下で対応できているのなら、わざわざ憲法にする
必要性は低い場合が多いだろう。 |
ゆっくり魔理沙 | だから、憲法の条文にするかどうかは、
慎重に考えるべきなんだ。 |
ゆっくり霊夢 | なるほどなあ。 |
ゆっくり魔理沙 | 今回の28条2項で労働基本権の制限に対して
公務員が文句をいえなくなると、 |
ゆっくり魔理沙 | 労働条件などを盾に、国の言うことを無理やり
聞かせようとするという可能性も大きくなってくる。 |
ゆっくり霊夢 | 公務員だって自分の生活かかってるもんね。 |
ゆっくり霊夢 | 『これしないと給料大幅カットな』なんて言われたら、
嫌でもやるしかなくなるかも。 |
ゆっくり魔理沙 | そうなると、公務員は全体の奉仕者じゃなくなって、
国の権力者の奉仕者になってしまうな。 |
ゆっくり霊夢 | 笑いごとじゃないんだけど。 |
ゆっくり魔理沙 | 28条はこのくらいにして、もうひとつくらい進めようか。 |
ゆっくり魔理沙 | 29条は財産権について定められている。 |
ゆっくり魔理沙 | そして、1項では『財産権は、これを侵してはならない』
と定められている。 |
ゆっくり霊夢 | 『財産権』って具体的になんなの? |
ゆっくり霊夢 | お金?のことだけじゃないよね? |
ゆっくり魔理沙 | そうだな。 |
ゆっくり魔理沙 | 一言でいうなら、財産権とは
経済的利益に関する権利だな。 |
ゆっくり魔理沙 | もっというと、自分の財産を
持って、使い、処分できる権利だといえる。 |
ゆっくり霊夢 | じゃあ、お金はもちろん、家や車、家具なんかも含めて、
自分の持ち物に対しての権利があるってことね。 |
ゆっくり魔理沙 | それだけじゃないけどな。 |
ゆっくり魔理沙 | 霊夢が言ったような物に対する権利は、 |
ゆっくり魔理沙 | 民法である物や権利を直接支配する権利
『物権』として定められている。 |
ゆっくり魔理沙 | 物権は『財産権』にあたる。 |
ゆっくり魔理沙 | そして、物権の中でも自分のものに対する
権利は所有権だ。 |
ゆっくり魔理沙 | これはイメージしやすいよな。 |
ゆっくり霊夢 | 自分のものは自由にしていいって、法律に言われなくても
思ってるよ。 |
ゆっくり魔理沙 | 目に見える物に対して以外でも、 |
ゆっくり魔理沙 | 人に対する権利である『債権』や形がないけど
価値がある『無体財産』についての権利なんかも |
ゆっくり魔理沙 | 財産権だな。 |
ゆっくり霊夢 | 債権?無体財産? |
ゆっくり魔理沙 | 債権は人に対する権利って言ったけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 例えば、働いた分の給料をもらう権利とか
注文した料理を提供してもらう権利だとか、 |
ゆっくり魔理沙 | 契約などに基づいて特定の相手に対して、何かしてもらう
ことを請求できる権利のことだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 無体財産についての権利は、
著作権をはじめとする知的財産権とかな。 |
ゆっくり霊夢 | 特許もそう? |
ゆっくり魔理沙 | 特許権も知的財産権だな。 |
ゆっくり魔理沙 | で、憲法29条1項では、この財産権を
『侵してはならない』としていて、 |
ゆっくり魔理沙 | 財産権は国や他人に勝手に奪われたり、不当に
制限されないということが定められているわけだ。 |
ゆっくり魔理沙 | このことを『私有財産制の保障』という場合もある。 |
ゆっくり霊夢 | でも、自分のものに自分の権利があるのは当たり前
じゃない? |
ゆっくり魔理沙 | そんなこともないぜ。 |
ゆっくり魔理沙 | 例えば、中国では土地は基本的に国の所有物で、 |
ゆっくり魔理沙 | 国民が手に入れられるのは、土地の使用権のみだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 所有権はもちろん国が握っている。 |
ゆっくり霊夢 | なんかいつでも土地返せって言われそうで
落ち着かなさそう。 |
ゆっくり霊夢 | そりゃ中国人が日本で土地やら買うわけだわ。 |
ゆっくり魔理沙 | それだけが理由じゃないだろうけど、理由の1つでは
あるだろうな。 |
ゆっくり魔理沙 | 中国はこれでもマシになったほうで、 |
ゆっくり魔理沙 | 2004年で憲法が改正されるまでは、
私有財産制の保障も憲法に明文がなかったそうだぜ。 |
ゆっくり魔理沙 | これはつまり、国や誰かに自分の財産を奪われても
文句がいえない可能性があるってことなんだ。 |
ゆっくり霊夢 | 日本に生まれてよかったあ。 |
ゆっくり魔理沙 | ただ、財産権の保障もまったくの
無制限ってわけにはいかない。 |
ゆっくり霊夢 | ええ。自分のものは自由にできるっていったじゃん。 |
ゆっくり魔理沙 | それはそうなんだけども。 |
ゆっくり魔理沙 | 例えば、お隣さんの家がものすごく崩れやすいような
建て方されていたらどうする? |
ゆっくり霊夢 | いいんじゃない?その人の土地でその人が建てたのなら。 |
ゆっくり魔理沙 | いやいや。 |
ゆっくり魔理沙 | 崩れるとしてその人の土地だけで綺麗に崩れてくれる
わけないだろ? |
ゆっくり魔理沙 | 隣が崩壊したら、絶対ガレキ飛んでくるぜ? |
ゆっくり魔理沙 | そしたら、家はもちろん、巻き込まれてケガをして
しまったり、命を落としてしまうかも。 |
ゆっくり霊夢 | それは大迷惑すぎる。 |
ゆっくり魔理沙 | だろ? |
ゆっくり魔理沙 | だから、公共の福祉に合うように法律で制限される
場合があるんだ。 |
ゆっくり魔理沙 | このことを言ってるのが、憲法29条2項だ。 |
ゆっくり魔理沙 | ちなみに、さっきの家を建てるときの例で制限する
法律を挙げると、 |
ゆっくり魔理沙 | 家を建てるときの最低限のルールを定める
『建築基準法』 |
ゆっくり魔理沙 | どこに何を建てられるかを決める
『都市計画法』 |
ゆっくり魔理沙 | 景観や自然を守るために制限を定める
『景観法』 |
ゆっくり魔理沙 | なんかが挙げられるな。 |
ゆっくり霊夢 | うん。やっぱりルールは必要だね。 |
ゆっくり魔理沙 | 29条3項はさらに、 |
ゆっくり魔理沙 | 私有財産を公共のために利用する場合は、
正当な補償を行わなければならないことを定めている。 |
ゆっくり霊夢 | 個人の財産が使われるの? |
ゆっくり魔理沙 | 29条1項では私有財産は保障され、
国に『不当に』制限されたりしないって話をしたけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 公共の福祉のために、どうしても私有財産に手をつけない
といけない場面が出てくる。 |
ゆっくり霊夢 | 例えばどんなとき? |
ゆっくり魔理沙 | 道路をつくるために土地を買い取ったりする場合だな。 |
ゆっくり魔理沙 | そういうとき、正当な補償をすることで国のものと
することができるというわけだ。 |
ゆっくり霊夢 | 正当な補償ねえ。正当な補償ってどんな補償なの? |
ゆっくり魔理沙 | これには大きく2つの考え方があって、 |
ゆっくり魔理沙 | 財産を奪われた人が経済的にまったく損をしないように
市場価格の全額を補償すべきと考える『完全補償説』と |
ゆっくり魔理沙 | 状況に応じて相当とされる額を補償するだけで
よいとする『相当補償説』だ。 |
ゆっくり霊夢 | 気持ち的には完全補償説でいってほしいところだけど、
判例はなんて言ってるの? |
ゆっくり魔理沙 | なんていうか微妙なところなんだ。 |
ゆっくり霊夢 | え?どういうこと? |
ゆっくり魔理沙 | 昭和28年の農地改革訴訟では、 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法29条3項の『正当な補償』は、その時々の経済状態に
おいて成立すると考えられる価格に基づき、 |
ゆっくり魔理沙 | 合理的に算出された相当な額であり、 |
ゆっくり魔理沙 | 必ずしも常に考えられる価格である必要はないとした。 |
ゆっくり霊夢 | と、いうことは相当補償説? |
ゆっくり魔理沙 | だけど、昭和48年の土地収用法事件では、 |
ゆっくり魔理沙 | 土地収用法における損失の補償は、完全な補償、 |
ゆっくり魔理沙 | すなわち収容の前後を通じて収用された土地の持ち主に
財産価値を等しくするような補償をすべき、とした。 |
ゆっくり霊夢 | これは完全補償説っぽい。 |
ゆっくり霊夢 | 結局どっちなの? |
ゆっくり魔理沙 | おそらく、相当補償だと思う。 |
ゆっくり魔理沙 | というのも、もし農地改革訴訟から
解釈が変わっているのだとしたら、 |
ゆっくり魔理沙 | 土地収用法判決が大法廷での
判決になっているはずだけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 実際は小法廷での判決になっている。 |
ゆっくり魔理沙 | それに、土地収用法判決では憲法29条3項が出てきた
わけじゃない。 |
ゆっくり魔理沙 | あくまで
土地収用法における損失補償について論じられただけだ。 |
ゆっくり魔理沙 | 農地改革訴訟で明らかにされた
憲法29条3項の『正当な補償』の定義である、 |
ゆっくり魔理沙 | 『その時々の経済状態において成立すると考えられる価格
に基づき、合理的に算出された相当な額』 |
ゆっくり魔理沙 | というのは最低限の基準で、 |
ゆっくり魔理沙 | 土地収用法という『法律』の損失補償が、
その最低限を上回る手厚さである完全補償とされても |
ゆっくり魔理沙 | 矛盾しないと思うんだ。 |
ゆっくり霊夢 | そっか。 |
ゆっくり霊夢 | だから、農地改革訴訟で出した憲法解釈自体に変更はない
から小法廷判決だったということなのね。 |
ゆっくり霊夢 | 確かに、最低時給が1000円だとしたら、
時給1500円渡しても問題ないもんね。 |
ゆっくり魔理沙 | そういうことだな。 |
ゆっくり魔理沙 | ちなみに、 |
ゆっくり魔理沙 | 昭和43年の河川附近地制限令違反事件では、 |
ゆっくり魔理沙 | たとえ、財産権を制限する法令に損失補償を定める規定
がなかったとしても、 |
ゆっくり魔理沙 | 特定の人に一般的に当然我慢すべきとされる制限の範囲を
こえる特別の犠牲があった場合には、 |
ゆっくり魔理沙 | 憲法29条を直接の根拠として補償請求を行うことができる
可能性があることを明確にした。 |
ゆっくり霊夢 | 25条みたいに、法律がないと憲法を根拠に直接訴える
ことができない条文もあるから、 |
ゆっくり霊夢 | 直接訴える根拠にできる可能性を明確にしたのは
画期的?だよね。 |
ゆっくり魔理沙 | 私もそう思うな。 |
ゆっくり魔理沙 | じゃあ29条3項の続きで、 |
ゆっくり魔理沙 | 『公共のために用ひる』は、文字通り公共のためになる
事業などに利用することを指している。 |
ゆっくり魔理沙 | 例えば、土地収用法では2条において、 |
ゆっくり魔理沙 | 『公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要と
する場合において、 |
ゆっくり魔理沙 | その土地を当該事業の用に供することが
土地の利用上適正且つ合理的であるときは、』 |
ゆっくり魔理沙 | 土地を収用したり使用したりすることができる
としている。 |
ゆっくり霊夢 | なんかあいまいだなあ。 |
ゆっくり魔理沙 | 土地収用法3条では、さらに土地を収用・使用できる
事業を限定している。 |
ゆっくり魔理沙 | わかりやすいのはやっぱり道路とか鉄道とかかな。 |
ゆっくり霊夢 | いっぱいあるんだねえ。 |
ゆっくり魔理沙 | 公共のために用いようとする事業者は、
3条の事業の認定を受けなければならなかったりするし、 |
ゆっくり魔理沙 | 土地という大きな財産を
収用しようとするわけだから、 |
ゆっくり魔理沙 | さすがにそのハードルは
低くはないぜ。 |
ゆっくり魔理沙 | じゃあ、この財産権を定める29条が憲法改正草案では
どうなってるか見てみよう。 |
ゆっくり霊夢 | 3項はほぼ変わってないのかな。 |
ゆっくり魔理沙 | そうだな。 |
ゆっくり魔理沙 | 1項を見てみると、 |
ゆっくり魔理沙 | 『これを侵してはならない』が『保障する』に
変わっている。 |
ゆっくり霊夢 | これは侵す気マンマンでしょ。 |
ゆっくり魔理沙 | 2項では、『公益及び公の秩序に適合するように』と
なっているので、 |
ゆっくり魔理沙 | 国の意向に従わない者の財産を取り上げる、といった
法律を制定することも可能になるだろうな。 |
ゆっくり魔理沙 | それに、前に見たところだが、
憲法改正草案の9条の3では、 |
ゆっくり魔理沙 | 『国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、
領土、領海及び領空を保全し、 |
ゆっくり魔理沙 | その資源を確保しなければならない。』としている。 |
ゆっくり魔理沙 | であれば、領土、領海、領空の保全や資源の確保のため
ならば、 |
ゆっくり魔理沙 | 『国のために協力してね』と強制収用も
可能になってくるだろう。 |
ゆっくり霊夢 | そんなあ。 |
ゆっくり霊夢 | 補償とかもしてもらえないのかな? |
ゆっくり魔理沙 | 3項の『正当な補償』は今の判例に従うなら、 |
ゆっくり魔理沙 | 特定の人が特別の犠牲があった
場合に直接請求できるわけだけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 『国のために協力してね』を持ち出されると、 |
ゆっくり魔理沙 | 一般の人がみな収用されるような法律が
できる可能性があるわけで、 |
ゆっくり魔理沙 | 特別の犠牲としてどれくらい認めてもらえるのか、
私には想像できないな。 |
ゆっくり霊夢 | 『協力』だったら、さすがに
補償はしてくれるんじゃない? |
ゆっくり魔理沙 | そうだといいんだけど。 |
ゆっくり霊夢 | そういえば、29条の2項にはまだ続きがあるね。 |
ゆっくり霊夢 | 『知的財産権については、国民の知的創造力の向上に
資するように配慮しなければならない』だって。 |
ゆっくり霊夢 | さすがに、知的財産権を法律で制限されるとやる気が
なくなりやすいだろうから、 |
ゆっくり霊夢 | 保護をもっと手厚くするように
配慮しようってことなのかな? |
ゆっくり魔理沙 | その点について、自民党のQ&Aに
コメントがあるんだけど、 |
ゆっくり魔理沙 | 『特許権等の保護が過剰になり、かえって経済活動
の過度の妨げにならないよう配慮する』とあるぜ。 |
ゆっくり霊夢 | あれ?もしかして逆? |
ゆっくり魔理沙 | ただ、保護の手厚さについては特許法なんかをいじれば
今でも変えることはできるはずなんだ。 |
ゆっくり魔理沙 | それなのに、なぜわざわざ憲法改正草案に知的財産権に
ついてわざわざ定めたのだろうか? |
ゆっくり霊夢 | 財産権は公益及び公の秩序に適合するように法律で定める
って言ってるのにね? |
ゆっくり魔理沙 | ものすごく裏の狙いがありそうなのに、
その明確な狙いが思いつかないな。 |
ゆっくり魔理沙 | ただ、知的財産権を憲法に明記しようとしたのは、 |
ゆっくり魔理沙 | 日本弁理士会と日本弁理士政治連盟の働きかけがあった
ことも原因になっているみたいんなんだ。 |
ゆっくり霊夢 | 憲法改正草案は、そういう外部からの影響も
受けてるんだね。 |
ゆっくり霊夢 | それにしても、日本弁理士会と日本弁理士政治連盟って
おそらく知的財産権の保護を推進したいと思うんだけど、 |
ゆっくり霊夢 | 自民党のQ&Aでは逆のこと言ってるよね? |
ゆっくり霊夢 | これでよかったの? |
ゆっくり魔理沙 | どうだろうな。 |
ゆっくり魔理沙 | この引用元の記事の投稿者は、 |
ゆっくり魔理沙 | 独立の項じゃない、ということでまだ
納得してないようだけどな。 |
ゆっくり霊夢 | そこ? |
ゆっくり魔理沙 | これ以上は私にはわからなかったわ。 |
ゆっくり霊夢 | 誰かこの狙いを教えてちょーだい。 |
ゆっくり魔理沙 | 人権の条文も残り少なくなってきたな。 |
ゆっくり霊夢 | それでも、まだ憲法全体だと3分の1もいってないのよね。 |
ゆっくり魔理沙 | 全条いくのは来年かもな。 |
ゆっくり霊夢 | 先は長いなあ。 |
ゆっくり霊夢 | 最後までご視聴ありがとうございました。 |
ゆっくり魔理沙 | それではまた次回! |
ゆっくり霊夢 | それではまた次回! |
編集後記
憲法の解説は内容が濃すぎて、台本作成から動画作成まで1か月かかりますね。
26条~29条のたった4条文ですよ?
視聴回数も増えないのに我ながらよくやっていると思います。
ただ、ダイジェストを配信しているショートのほうは少しずつ視聴回数も上がってきていて、それにともなってコメントもついてくれるようになりました。
めちゃくちゃうれしいです。
ただ、話題が話題だからなのか、かなり喧嘩腰のコメントもあったりします。
僕はそんなに気にしない(気にしてる余裕がない)からいいのですが、いつか訴えられた李しないか心配です。
知らない人も多いかもしれませんが、実は法務省から侮辱罪になる例文集が配信されているんですよね。
それによると、「頭お花畑」くらいの煽りでも、侮辱罪になる可能性が高いです。
余裕が出たら動画にしようと思ってますが、ネットでの軽率な行動は犯罪になる可能性があります。
罪に問われたからって、直接の刑罰は軽いものですが、民事で損害賠償請求がきたり、勤めている会社からクビを宣告されるかもしれません。
この記事を見ている人は少ないでしょうが、気を付けてもらいたいものです。
人にはいろんな考え方があります。
他人の考えに対しては、罵倒ではなく、根拠を示した上での議論をしたほうが健全です。
それ以上に、自分を守る意味もあります。
友達としゃべる感覚でいると、足元すくわれますよ?
サムネイルは今までと同じフォーマットで作りました。

何をアピールしたら見てもらいやすいのかわからないのでね(笑)
見てくれる人が増えたらうれしいのですが。。。
なかなか難しいですね。
どうでもいいことかもしれませんが、このサイトに私の発信情報を集約しようと考えています。
今、もう一つのチャンネルは放置ぎみになってますが、いずれ落ち着いたら、そちらでも動画アップしたり、このサイトで簡単な近況を報告したりしようと考えてます。
実は、11月から転職予定です。
転職といっても、自営業の扱いなので、契約先が変わるといったほうが正しいでしょうか?
少しは時間も作りやすくなると思うので、もう少し発信頻度をあげられたらいいな、なんて。
まずは、憲法解説をやり切るのが優先。
早速、続きの動画の台本作成に入りたいと思います。