日本国憲法全文解説⑳(第十章最高法規97~99条~第十一章100~103条)と自民党憲法改正草案の検討
動画概要
今回の動画で扱っている内容について
今回の動画では、日本国憲法の最後の章である「最高法規」の部分と、その後に続く補則、さらに自民党憲法改正草案の附則までをまとめて取り上げています。これまで続けてきた憲法解説の締めくくりにあたる回でもあり、単に条文をなぞるだけではなく、「憲法は誰のためにあるのか」「人権はどういう位置づけのものなのか」「改正の議論を見るときに何を意識すべきなのか」といった、かなり根本のところまで掘り下げています。
とくに今回の中心になるのは、97条、98条、99条です。どれも一見すると抽象的で、これまで扱ってきた個別の人権規定や統治の仕組みに比べると、少しとっつきにくく見えるかもしれません。ですが、実際にはここが憲法全体の背骨ともいえる部分です。なぜなら、ここには「この憲法そのものが最も強いルールであること」「基本的人権がどういう意味を持つのか」「憲法を守る義務を本来負うのは誰なのか」といった、憲法の土台になる考え方が詰まっているからです。
しかも今回は、現行憲法の条文を確認するだけで終わりません。自民党憲法改正草案では、この部分がどう変えられようとしているのか、その変化にどんな意味がありそうかまで見ていきます。条文の削除や主語の置き換えが、単なる言い回しの違いでは済まないこと。むしろ、その小さく見える変更の中にこそ、憲法に対する考え方の違いが表れていること。この動画では、そうした点を丁寧に追いかけています。
97条はなぜここまで重要なのか
今回の大きな見どころのひとつが、憲法97条の扱いです。97条には、この憲法が国民に保障する基本的人権は、長い歴史の中で人類が勝ち取ってきた成果であり、現在そして将来の国民に対して、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである、という趣旨が書かれています。
文章だけをみると、とても大事なことが書かれているように感じます。しかしここで問題になるのが、11条との関係です。11条にも、基本的人権の享有を妨げられないことや、それが侵すことのできない永久の権利であることが書かれています。そのため、「97条は11条と内容がかなり重なっているのではないか」という疑問が出てきます。
この動画では、その疑問に対して学説上どんな見方があるのかを整理しています。ひとつは、97条は11条の内容を言い直しているだけだと考える立場です。この考え方に立つと、97条は説明的な条文であり、なくても大きな問題はないという方向に進みやすくなります。もうひとつは、97条には独自の意味があると考える立場です。この見方では、11条は「保障する」というルールを示し、97条は「なぜそれが保障されるのか」という根拠や理念を示している、と理解されます。さらに、その中間のような見方として、97条は理念や価値を示し、11条は実際の保障の仕組みを担っている、ととらえる考え方もあります。
こう書くと、学者同士の細かな言葉の争いのようにも見えるかもしれません。ですが、この動画では、そうした議論が決して机上の話だけでは終わらないことを示しています。というのも、97条をどう考えるかによって、人権というものをどう理解するかまで変わってくるからです。人権は、憲法に書いてあるから守られるものなのか。それとも、人である以上もともと持っているもので、憲法はそれを確認しているにすぎないのか。この違いは、単なる解釈の差ではなく、国家と個人の関係をどう見るかに直結します。
人権は「与えられるもの」なのか「もともと持つもの」なのか
今回の動画では、97条と11条の関係を通して、人権の見方そのものにも踏み込んでいます。ここがかなり重要なところです。というのも、憲法の条文の読み方の違いが、そのまま人権観の違いにつながっていくからです。
もし、人権は憲法や法律で保障されているから守られるのだ、という方向で考えるなら、権利は国家のルールの中で認められているものだという色合いが強くなります。もちろん現実の制度を考えれば、条文や法律で明確に縛っておかなければ、権力は人権を守らないかもしれない、という発想には強い説得力があります。現実的な発想としてはよくわかります。
一方で、人権はそもそも人であれば当然に持っているものだ、という立場に立つと、憲法はその当然のことを確認し、国家権力に対して「勝手に侵すな」と命じているものだ、という見え方になります。つまり、国家が人権を与えているのではなく、国家のほうが後から人権に縛られる立場に置かれている、ということです。
この動画では、そうした理想と現実の両面を見ながら、97条の位置づけを考えています。理想としては、人権は条文があろうとなかろうと守られるべきものです。しかし現実には、権力はきちんとルールで縛られていなければ暴走するおそれがあります。だからこそ、条文の存在が重要になる。この緊張関係を踏まえたうえで、97条が「最高法規」の章に置かれていること自体に大きな意味があるのではないか、という視点が示されます。
つまり、97条は単に11条と重複する説明文ではなく、「人権保障は憲法の中でも最高レベルで重視されるべきものだ」というメッセージを、権力側に突きつけている条文として読むこともできるわけです。人権制約に対するブレーキの役割を果たしているのではないか。そう考えると、97条が置かれている場所まで含めて意味を持って見えてきます。
97条削除はなぜ気になるのか
この問題が一気に現実味を帯びるのが、自民党憲法改正草案で97条にあたる部分が丸ごと削除されていることです。現行憲法の中にすでに存在する条文について、「ただ意味が重なるから消しただけだ」と説明することは一応可能です。ですが、本当にそれだけなのか、という疑問がここで強く出てきます。
もし97条が本当にただの説明にすぎないなら、そのまま残しておいても大きな支障はないはずです。にもかかわらず、わざわざ理由をつけて削ろうとしている。その背景には、単純な整理以上の意図があるのではないか。この動画では、そうした視点から改正草案を読み解いていきます。
ここで注目されるのが、天賦人権思想との関係です。基本的人権が国家から与えられるものではなく、人が生まれながらに持つものだという考え方は、権力にとっては扱いにくい側面があります。なぜなら、その考え方に立つと、国家はあくまで人権を制限できる側ではなく、逆に人権によって厳しく縛られる側になるからです。
97条には、人権が人類の努力の成果として獲得されたものであることが書かれています。これは、「国家が国民に権利を与えている」という発想とは相性がよくありません。むしろ、権利は人々が勝ち取ってきたものであり、国家はそれを侵してはならない、という方向を強く示します。そう考えると、97条の存在は、権力側にとって都合の悪いブレーキになりうるわけです。
この動画では、97条削除をめぐる問題を、単なる条文整理ではなく、憲法観や人権観の違いが表れたものとしてとらえています。だからこそ、この部分はかなり見応えがあります。条文の有無ひとつで、憲法が誰を守るためのものなのか、その輪郭が変わって見えてくるからです。
98条が示す「憲法が一番強い」という意味
次に扱う98条1項は、いわゆる憲法の最高法規性を正面から定めた条文です。法律、命令、詔勅、国務に関するその他の行為の全部または一部が憲法に反するときは、その効力を有しない。こうした内容は、憲法が日本の法体系の頂点にあることを非常にはっきり示しています。
ただ、この動画では「条文にそう書いてあるから終わり」とはしません。現実には、あるルールが憲法違反かどうかは、裁判所が実際の事件の中で判断することになります。日本では具体的な争いが起きてはじめて違憲審査が行われる仕組みがとられているため、違憲の疑いがあるルールでも、裁判で判断されるまでは存在し続けることがあります。
さらに、裁判所が違憲と考えても、常に直ちに無効とするとは限りません。違憲状態と宣言するだけにとどめる場面もあります。理屈だけでいえば、憲法に反するなら無効にするのが筋だろう、という感覚はもっともです。しかし現実には、選挙制度などで直ちに無効としてしまうと大きな混乱が生じることもあり、そのあたりに司法の難しさがあります。
この動画は、98条の強さを示しながらも、「強い条文があること」と「実際にそれが機能すること」は同じではない、という現実もきちんと押さえています。ここは、憲法の理想と制度運用とのズレを考えるうえでかなり重要なポイントです。
条約と憲法の関係も見逃せないポイント
98条2項では、条約および確立された国際法規を誠実に遵守すべきことが定められています。ここも一見すると当たり前のように見えますが、実は「憲法と条約のどちらが上なのか」という論点につながる部分です。
動画の中では、通説的には条約や国際法規も国内法の一部として扱われ、国内法秩序の中では憲法が上位にくると考えられていることが説明されます。ただし、それはあくまで日本の国内法の話です。国際社会の場面で「日本の憲法に反するから条約を守れません」と言っても、それで済むわけではありません。だからこそ、条約を結ぶ前の段階で、憲法との整合性をよく見ておかなければならない、という話につながっていきます。
また、判例との関係にも触れられており、安全保障条約が高度に政治性を有するものとして、裁判所が原則として審査を避けた砂川事件の話も取り上げられます。ここから見えてくるのは、条文上はきれいに整理できても、政治や外交が絡むと司法審査が簡単には及ばない場面があるということです。
つまり、98条は「憲法が一番上」というだけではなく、国内と国際のルールの接点にある難しさまで考えさせる条文でもあります。この動画では、そのあたりも含めて、抽象的な最高法規の話をかなり具体的に感じられるようになっています。
99条が示す「憲法を守る側」は誰か
今回の後半でもうひとつ大きな山場になるのが99条です。99条は、天皇または摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員が、憲法を尊重し擁護する義務を負うことを定めています。ここで大事なのは、憲法を守る義務の中心が国側に置かれているという点です。
憲法はそもそも、権力にブレーキをかけるためのものです。国民を縛るためのものというより、国家権力が勝手なことをしないようにするためのルールです。だからこそ、99条では、国の側にいる人たちが憲法を守り、さらに憲法を壊さないように支える義務を負うとされています。
この動画では、「尊重」だけでなく「擁護」という言葉にも注目しています。つまり、ただ違反しないだけでは足りず、憲法そのものが傷つけられないように守る役割まで求められているわけです。ここを踏まえると、憲法は国民が国家に対して突きつけるルールであり、国家の側はそれを受け入れて守り続ける義務を負う、という構造が非常にはっきり見えてきます。
改正草案で主語が変わる怖さ
そして今回かなりインパクトが強いのが、自民党憲法改正草案では、この構造が大きく変えられている点です。草案102条1項では、「全て国民はこの憲法を尊重しなければならない」とされており、現行99条で尊重擁護義務を負っていた国側の人々が、主語から外れてしまっています。
ここで起きているのは、単なる文章の修正ではありません。憲法が本来向けられていた相手が、国から国民へとすり替わっているとも読める変更です。憲法とは権力にブレーキをかけるためのものだ、という近代立憲主義の基本から見ると、この転換はかなり重大です。
動画では、この点についてさらに踏み込んでいます。もし国民に憲法尊重義務を負わせ、国側には憲法を擁護する義務だけを強調するような構造になると、国民による批判やデモが「憲法を壊そうとする行為」とみなされる余地が出てくるのではないか、という問題です。しかも草案では、表現の自由についても公益や公の秩序を理由に制限しやすい形が見られるため、組み合わせ次第ではかなり危うい運用につながりかねません。
もちろん、条文があるだけで直ちにそうなるとは限りません。ですが、憲法の主語や義務の向きが変わることで、国家と国民の力関係の見え方が変わることは確かです。この動画は、その怖さを感情的に煽るのではなく、条文の読み方から積み上げて示しているところが大きな見どころです。
補則と附則の違いまでわかる構成
今回の動画では、最高法規の章だけでなく、現行憲法の補則や、改正草案の附則にも触れています。ここは地味に見えるかもしれませんが、法律や憲法を読むときに意外と大事なところです。
補則は、本則の一部として、その内容を補足する細かな規定をまとめたものです。そのため、条文番号もそのまま続いていきます。一方で附則は、本則に付随する必要事項を別立てで定めるもので、施行日や経過措置などがここに置かれることが多くなります。動画では、この違いも含めて整理されているので、これまで何となく読み飛ばしていた部分がぐっとわかりやすくなります。
現行憲法の100条から103条では、施行時期や施行のための準備、参議院発足前の国会権限、第1期参議院議員の任期の扱いなど、制定当時ならではの事情が確認できます。また、改正草案の附則では、施行日に関する扱いだけでなく、裁判官の報酬や任期、予算や決算の経過措置なども定められており、改正が行われた場合に何がどう動くのかを考える材料になります。
こうした部分は普段なかなか注目されませんが、制度が切り替わるときにどんなことが起きるのかを知るうえでとても大事です。表の理念だけでなく、裏側の手続まで見ることで、憲法改正というものをより現実的に考えられるようになります。
憲法改正は「一気に全部」ではないかもしれない
動画の最後では、憲法改正の議論そのものの見方についても触れています。ここもかなり重要です。憲法改正というと、どうしても大きなテーマだけが注目されがちです。たとえば9条のように、話題としてわかりやすい部分に視線が集中しやすいです。
しかし実際には、改正は必ずしも全部まとめて一度に行われるとは限りません。むしろ、政治的な合意が得られやすいところから少しずつ進められていく可能性があります。そうなると、ある条文だけを見て賛成反対を判断しているうちに、気づかないところで別の重要な部分が変わっていくこともありえます。
だからこそ、憲法改正の議論を見るときには、「改正か護憲か」という大きなくくりだけでは足りません。どの条文を、どのように変えるのか。その結果、国家と国民の関係はどう変わるのか。権利保障のブレーキは弱まらないか。そうした具体的な視点を持つことが必要になります。
この動画は、そのための土台としてかなり役立つ内容になっています。これまでの解説を積み重ねてきた上での最終回だからこそ、単なるまとめではなく、「ここまで見てきたことを踏まえて、今後どう考えるべきか」という視点まで示してくれます。
まとめ
今回の動画は、日本国憲法のラストを飾る回として、条文の締めくくりにふさわしい内容になっています。97条では、人権がどういうものとして位置づけられているのか、11条との関係を通して深く考えられる構成になっていますし、98条では憲法が最高法規であることの意味と、その現実の運用の難しさまで見えてきます。さらに99条では、憲法を守るべき主体が本来誰なのかがはっきり示され、改正草案でその向きがどう変えられようとしているのかも浮かび上がります。
また、補則と附則の違い、施行や経過措置の考え方まで触れているため、理念だけではなく制度としての憲法の姿もつかみやすくなっています。最後には、憲法改正の議論をどう見ていくべきかという視点まで示されており、単に知識を得るだけでなく、これから先のニュースや政治の動きを自分なりに考えるための土台にもなる内容です。
憲法は難しい、条文は読む気がしない、そう感じる人ほど見てほしい回だと思います。抽象的な話に見える最高法規の章が、実は人権や権力のあり方に直結する、とても生々しいテーマだということがわかるはずです。そして、改正に賛成か反対かを先に決めるのではなく、どこをどう変えると何が起こるのかを具体的に見ていくことの大切さも伝わってくるはずです。
ここまで憲法全体を追ってきた流れの締めとしても、これから改正論議を見ていく入口としても、かなり密度の高い回になっています。最後まで見れば、憲法はただの硬いルール集ではなく、自分たちの自由や立場に直接関わるものだという感覚が、かなり強く残ると思います。
動画テキスト
| キャラクター | セリフ |
| ゆっくり魔理沙 | さて、いよいよ今回は憲法解説のラストだ。 |
| ゆっくり霊夢 | 本当に終わるの? |
| ゆっくり魔理沙 | 20でキリがいいので、なんとしても終わらせる所存だ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 解説①からいうと約9か月、構想からだと1年以上
かけたこの解説の集大成が今回だ。 |
| ゆっくり霊夢 | そういう言い方されると、なんかすごく壮大に感じるね。 |
| マネ | 自分の使える時間をほぼこれに充ててきたからな。 |
| マネ | 感慨深いよ。 |
| ゆっくり霊夢 | なんか聞こえた? |
| ゆっくり魔理沙 | 気のせいだろ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そんなことはいいからさっそくはじめていくぜ。 |
| ゆっくり魔理沙 | いまから解説する第10章は『最高法規』だ。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、憲法が日本において1番強いルールであることを
定めたものであるということは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 頭に入れておいてほしい。 |
| ゆっくり霊夢 | はい。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、憲法97条は、
この憲法が国民に保障する基本的人権は、 |
| ゆっくり魔理沙 | 過去の人々の努力の成果であること、 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、いろんな試練に耐え、 |
| ゆっくり魔理沙 | 現在や将来の国民に対して、侵すことのできない永久の
権利として信託されたものであることを定めている。 |
| ゆっくり霊夢 | あれ? |
| ゆっくり霊夢 | 似たような条文前にやったような? |
| ゆっくり魔理沙 | 11条だよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 11条もすべての基本的人権の享有を妨げられないこと。 |
| ゆっくり魔理沙 | 侵すことのできない永久の権利として現在及び将来の
国民に与えられることが定められてたよな。 |
| ゆっくり霊夢 | ほぼほぼ意味も被ってるじゃない。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうなんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、この2つの条文をどう考えるかについては
見解がわかれているんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、その前に、97条作成の経緯について触れておこう。 |
| ゆっくり魔理沙 | もともと、97条はGHQが出したマッカーサー草案に
あったものだったんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | なんだかんだ削除される方向で
話がまとまりかけたものだった。 |
| ゆっくり魔理沙 | ところが、 |
| ゆっくり魔理沙 | 実は、97条はGHQでマッカーサーの
次に影響力があるとされた、 |
| ゆっくり魔理沙 | コートニー・ホイットニー民政局長の自筆の条文だと
いうことがわかって、 |
| ゆっくり魔理沙 | 後ろのほうでもいいから残しておいてほしい
ということになって、残すことになった。 |
| ゆっくり霊夢 | 忖度かよお。 |
| ゆっくり魔理沙 | まあ、それならということで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 11条の後半部分は意味が被るので削除したんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ところが、総司令部側でその後にまとめた英文のものでは
その削除された部分が残ってたんだな。 |
| ゆっくり霊夢 | なんでそうなるのよ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 日本側は、整理しようかとも考えたんだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | これを指摘してまた交渉全体に問題が出るのも嫌だし、 |
| ゆっくり魔理沙 | まあ害はないからいっか、 |
| ゆっくり魔理沙 | ということで残ることになった。 |
| ゆっくり霊夢 | ある意味、奇跡の条文ね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ということを踏まえて、11条と97条の関係について
話していくな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 大きく分けると3つの見解があって、 |
| ゆっくり魔理沙 | その1つの見解が『97条はただの説明だ』とする見解だ。 |
| ゆっくり魔理沙 | これを『説明説』とでもしておこうか。 |
| ゆっくり霊夢 | なんか山本山みたいね。 |
| ゆっくり魔理沙 | それわかるやついるか? |
| ゆっくり魔理沙 | 説明説によると、人権の保障は11条で足りていて、 |
| ゆっくり魔理沙 | 97条は同じことを言いなおしているだけ
ということになる。 |
| ゆっくり霊夢 | まあ、実際意味は被ってるわけだしね。 |
| ゆっくり魔理沙 | この見解でいくと、97条はたとえなくても問題ないという
結論に行きつきやすいことになるよな。 |
| ゆっくり霊夢 | ただの説明なわけだしね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、もう1つの見解が、『97条に独自の意味がある』
とするものだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | これを『独自説』とでもしようか。 |
| ゆっくり魔理沙 | 独自説によると、 |
| ゆっくり魔理沙 | 11条は人権を保障する話で、97条はなぜ保障されるのか
という根拠を示す条文だとする。 |
| ゆっくり魔理沙 | この見解だと、97条は単なる説明ではないわけで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 削除するようなことがあったら意味が変わるという結論
に行きつくことになるよな。 |
| ゆっくり霊夢 | どう変わるっていうの? |
| ゆっくり魔理沙 | 詳しくは後でいうわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、これらの中間にあたる説がある。 |
| ゆっくり魔理沙 | これを『折衷説』としようか。 |
| ゆっくり魔理沙 | 折衷説だと、97条は理念や価値を示すものとして
定められており、 |
| ゆっくり魔理沙 | 11条は実際に保障するルールを定めているとする。 |
| ゆっくり魔理沙 | この見解だと、97条を削除しても影響がないとも
あるともどっちの結論もとれそうだ。 |
| ゆっくり霊夢 | なんか不毛な争いな気がしなくもないけど、 |
| ゆっくり霊夢 | どうしてこんなに議論されてるの? |
| ゆっくり霊夢 | もうあるんだから必要。 |
| ゆっくり霊夢 | それでいいじゃない? |
| ゆっくり魔理沙 | いや、そんな単純な話じゃない。 |
| ゆっくり魔理沙 | というのも、 |
| ゆっくり魔理沙 | この97条をどうとらえるかで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 学問的には人権がどういうものと考えるか、
というスタンスの問題にまで発展してしまうからだ。 |
| ゆっくり霊夢 | どういうこと? |
| ゆっくり魔理沙 | 人権というものは、人であれば当然
手にしているものではある、という前提があるけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 説明説では、人権は11条などの条文で保障されてるから
守られるという傾向が強く出やすい。 |
| ゆっくり魔理沙 | 一方、独自説では、人権は人であれば当然持っている
という部分が強く出やすい。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、人権はそもそも守られるべきものだから、
憲法においても保障されている |
| ゆっくり魔理沙 | という傾向が強く出やすい。 |
| ゆっくり霊夢 | なんか、現実をみるか、理想をみるかみたいな話ね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 良い視点だな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 私は日本と戦争との関係にも似ていると考えていて、 |
| ゆっくり魔理沙 | 戦争は嫌だし、理想としては戦力を持つのも反対したい
ところだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 現実を考えると、他国に攻められて
無抵抗でいいとは思えない。 |
| ゆっくり魔理沙 | やはり、自分たちを守るくらいの力は必要かも、
と考えざるをえなくなるよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 97条と11条の関係も似たようなもので、 |
| ゆっくり魔理沙 | 理想をいうなら、
人権はそもそもみんな持っているもので、 |
| ゆっくり魔理沙 | たとえ憲法に条文がなかったとしても守られるべきもの
であるはずだ。 |
| ゆっくり霊夢 | だから、法で定めるのは
当然のことを確認するって考え方になるのね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、現実を考えると、権力側はルールで縛ってないと
人権を守ってはくれそうにないわけで、 |
| ゆっくり魔理沙 | やはりルールがあるからこそ、人権は守られると考えて
いたほうがいい、みたいな。 |
| ゆっくり霊夢 | 人権は当然のものかもしれないけど、 |
| ゆっくり霊夢 | 法で縛ってないと、
守られる保障がないって考えてるのね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そんな中で、私は、過程としては偶然かもしれないけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 97条が最高法規の章に置かれたことで、
意味を持つようになったと思ってる。 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、人権の保障というものは、
最高法規に並ぶものなんだぞ、 |
| ゆっくり魔理沙 | という警告を権力側に発している
存在になっていると思うんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、97条は権力側へ人権制約のブレーキの役割を
果たす条文になっていると考えられる。 |
| ゆっくり霊夢 | じゃあ、魔理沙は独自説だね。 |
| ゆっくり魔理沙 | うーん、条文の内容自体をそこまで
重要視してるわけじゃなくて、 |
| ゆっくり魔理沙 | 最高法規の章の中に人権保障の定めがあることが大事と
思っているから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 分類されるとしたら、折衷説になると思うぜ。 |
| ゆっくり魔理沙 | まあどっちでもいいんだけど。 |
| ゆっくり霊夢 | なんかややこしい話ね。 |
| ゆっくり霊夢 | この議論、なんか現実に影響するの? |
| ゆっくり魔理沙 | おそらくほぼしないんじゃないかな。 |
| ゆっくり魔理沙 | だって、現実の裁判だったら
11条のほうが表に出てくるだろうし。 |
| ゆっくり霊夢 | だったら私聞かなくてよかったじゃない。 |
| ゆっくり魔理沙 | た、だ、し、 |
| ゆっくり魔理沙 | 97条を削除しようとかいう話にならない限り、な。 |
| ゆっくり霊夢 | うん? |
| ゆっくり霊夢 | ということは? |
| ゆっくり魔理沙 | そう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案では、この97条にあたる部分はまるまる
削除されているんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | やっぱり。 |
| ゆっくり霊夢 | ということは、さっきの議論はもう考え方の違いでは
おさまらなくなってくるのね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 削除については自民党のコメントがあるのでみてみよう。 |
| ゆっくり霊夢 | もろに自民党が説明説のような立場で憲法改正
しようとしてるのがわかるね。 |
| ゆっくり霊夢 | そういう立場からすれば、内容が被るから削除するのは
当然といえば当然か。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、裏を返せば削除しなくたって問題はない。 |
| ゆっくり魔理沙 | 単なる説明なわけだからな。 |
| ゆっくり霊夢 | それでも削除したのには意図がある? |
| ゆっくり魔理沙 | わざわざ長文コメントをつけてまで削除したんだから
なおさらな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 11条の解説のところでも話をしたけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 自民党は天賦人権思想を嫌っているフシがある。 |
| ゆっくり霊夢 | その考え方がもともと西欧の考え方だからって自民党は
説明してたよね? |
| ゆっくり魔理沙 | そう。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、それは前憲法で天皇が国民に権利を与えている
とする天皇主権の考え方の邪魔になるものだから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案で天皇主権の頃に戻したいと考えているなら |
| ゆっくり魔理沙 | 天賦人権思想は当然邪魔になる考え方だろうという旨の
ことをそのときは解説したな。 |
| ゆっくり霊夢 | 天賦人権思想は、人権が神や創造主から与えられる
とするような考え方なんだから、 |
| ゆっくり霊夢 | そりゃ矛盾するよね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案が天皇主権に戻そうとしているかどうかは
置いておくとしても、 |
| ゆっくり魔理沙 | 今までの動画で解説してきたように、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案では、憲法があるから人権が保障されている
と考えているように読み取れる部分が、 |
| ゆっくり魔理沙 | ところどころ見受けられる。 |
| ゆっくり魔理沙 | そのほうが、権利の制限にも正当性を主張しやすくなり、
文句がつけにくくなるからな。 |
| ゆっくり魔理沙 | そういう視点で見ると、97条は都合が悪い。 |
| ゆっくり霊夢 | どうして? |
| ゆっくり魔理沙 | 97条では、基本的人権は人類の長年の努力の成果に
よって獲得した、 |
| ゆっくり魔理沙 | つまり、自分たちで勝ち取ったことを示しているからな。 |
| ゆっくり霊夢 | そうか。 |
| ゆっくり霊夢 | それだと、憲法が権利を与えているって主張しにくい
から邪魔になるんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 説明説に立っていたとしても、邪魔にはならないから
わざわざ削除しなくていいものを、 |
| ゆっくり魔理沙 | あれこれ長々と理由をつけてまで
削除しようとしているのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 『邪魔になるから』 |
| ゆっくり魔理沙 | と考えるとつじつまが合ってくるよな。 |
| ゆっくり霊夢 | しかも最高法規のところにあるわけだしね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 私が97条を単なる説明の条文だと
片付けられない理由でもある。 |
| ゆっくり霊夢 | 97条があったら、緊急事態宣言なんておけない
だろうしね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案そのままの
内容だったら無理だろうな。 |
| ゆっくり霊夢 | 忖度で残したものが、まさかこんなに
重要なものになるとは、 |
| ゆっくり霊夢 | 憲法を作った側も思ってなかっただろうね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうみたいだぞ。 |
| ゆっくり魔理沙 | というところで次の条文に移ろう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 98条1項は、まさに憲法の最高法規性を定めた条文だ。 |
| ゆっくり霊夢 | 法律も命令も詔勅も国務に関するその他の行為も、
憲法に違反したら無効になるなんて。 |
| ゆっくり霊夢 | 強すぎる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法を変えることの重要性を
改めてわかってもらえたかな。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、『効力を有しない』とはいうけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 実際には、憲法に違反するかどうかを裁判所で判断して
もらう必要がある。 |
| ゆっくり霊夢 | 憲法81条にそんな条文あったね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 日本は前にも説明したように、具体的事件が起こって
はじめて違憲審査をする |
| ゆっくり魔理沙 | 『付随的審査制』だから |
| ゆっくり魔理沙 | 無効となるまで違憲のルールは存在し続けるし、 |
| ゆっくり魔理沙 | 違憲が確定するまで時間もかかる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 裁判所の判断で、無効とせずに違憲状態を宣言するだけ
に留まる場合もある。 |
| ゆっくり霊夢 | 宣言するだけって、この条文を考えたら
それこそ違憲じゃない? |
| ゆっくり魔理沙 | そうだよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | だけど、例えば選挙が違憲だから無効だとすると、 |
| ゆっくり魔理沙 | 混乱するし、やり直しに多くのお金がかかるしで、
現実的に仕方ない部分もあるんだろう。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、違憲というからには、本来は理由はどうあれ、
無効とするのが筋だとは思う。 |
| ゆっくり霊夢 | 難しいものね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、今までは裁判になったことはないと思うけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 明らかに不正選挙だと判明すれば、
違憲無効にしてくれると信じてるぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | そうだといいんだけど。 |
| ゆっくり魔理沙 | 続いて、2項は条約や国際法規を誠実に遵守すべきことが
定められている。 |
| ゆっくり霊夢 | じゃあ、憲法よりも条約や国際法規のほうが上ってこと? |
| ゆっくり魔理沙 | いや、1項で憲法が最高法規って言ってただろ? |
| ゆっくり魔理沙 | 通説的な考え方だと、条約や国際法も
国内法の一部として扱われ、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法のほうが上だと考えられている。 |
| ゆっくり魔理沙 | とはいえ、日本という立場から見れば、
という話だけどな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 他国から見れば、『日本の憲法はこういってるから、
その条約は守れない』なんてことは通用しない。 |
| ゆっくり魔理沙 | 前にも言ったけど、条約の内容を事前に吟味し、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法に違反するような条約は結ばないのが肝心だ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ちなみに、砂川事件訴訟において、 |
| ゆっくり魔理沙 | 判例は安全保障条約を、
高度の政治性を有するものであるといい、 |
| ゆっくり魔理沙 | 違憲かどうかという法的判断は、
純司法的機能を使命とする司法裁判所の審査には、 |
| ゆっくり魔理沙 | 原則としてなじまない性質のものであるとした上で、 |
| ゆっくり魔理沙 | 極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、
裁判所の司法審査権の範囲外のものとして判断を避けた。 |
| ゆっくり霊夢 | 違憲判断を避けるなら、条約が憲法より上だとしても
意味ないんじゃないの? |
| ゆっくり魔理沙 | そういう見方もできる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 条約は国同士の約束事だから、
どうしても難しい部分があるよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 98条については、憲法改正草案でも変更はない。 |
| ゆっくり魔理沙 | ということで、99条に進もう。 |
| ゆっくり魔理沙 | 99条は誰が憲法を守らなければならないか、
という重要なことを定めた条文だ。 |
| ゆっくり霊夢 | 憲法は国民を守っているって散々言ってきてるんだから、 |
| ゆっくり霊夢 | もちろん、守るべきは国側なのよね? |
| ゆっくり魔理沙 | そうだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 99条は、憲法を尊重し擁護する義務を負うのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、
裁判官その他の公務員であるとしている。 |
| ゆっくり霊夢 | じゃあ国民は守らなくていいってこと? |
| ゆっくり魔理沙 | そんなわけないだろ。 |
| ゆっくり魔理沙 | まあ理屈でいえば、
憲法に基づいて法律が定められるわけで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 法律を守らない奴は刑罰をはじめとした各種罰を受ける
ことになると思うけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | それでもいいなら。 |
| ゆっくり霊夢 | いや、よくないわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ということで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国民は法律を守ることで間接的に憲法に従うことになる。 |
| ゆっくり霊夢 | なるほどね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 言い忘れたけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 99条は憲法を尊重する義務だけじゃなく、
擁護する義務も定めているから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国側は憲法の定めを守るだけじゃなくて、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法自体が壊されないように守る必要もあるんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | 憲法にブレーキをかけられるという構造を
国側は自ら守らないといけないんだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | じゃあ、憲法改正草案ではどうなってるか。 |
| ゆっくり魔理沙 | 前回言ってた本音が出ているのがこの条文だ。 |
| ゆっくり霊夢 | もうなんとなく察したわ。 |
| ゆっくり霊夢 | 国民が憲法を守れっていうんでしょ? |
| ゆっくり魔理沙 | お察しの通り、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案の102条1項は『全て国民はこの憲法を尊重
しなければならない』となっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法は、そもそも権力側にブレーキをかけるために
定められたものであるはずなのに、 |
| ゆっくり魔理沙 | ここでは国民だけに守らせるものとして
矛先を変えているんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | 国民に守らせようとするのは
予想してたけど、 |
| ゆっくり霊夢 | 国側は主語から全部抜いてあるのには
さすがにびっくりだよ。 |
| ゆっくり魔理沙 | しかも、2項では国側には擁護義務を負わせているから、 |
| ゆっくり魔理沙 | 極端な話、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国民が『憲法はおかしい』とデモなんかやったりすると、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法を破壊しようとする行為と認識されてしまった場合、 |
| ゆっくり魔理沙 | この擁護義務を建前に、国側から攻撃されることに
なってしまう可能性もゼロとはいえない。 |
| ゆっくり魔理沙 | むしろ、擁護義務があるから、デモをやめさせないことが
国側の違憲になると解釈される可能性すらある。 |
| ゆっくり霊夢 | いや、表現の自由。 |
| ゆっくり魔理沙 | 忘れたのか? |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正草案では、表現の自由も、 |
| ゆっくり魔理沙 | 国に、公益や公の秩序を害することを目的とした活動と
されてしまったら認められないんだぜ。 |
| ゆっくり霊夢 | さすがにヤバすぎるでしょ。 |
| ゆっくり霊夢 | コメント、あるんでしょうねえ? |
| ゆっくり魔理沙 | あるぜ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ツッコミどころは満載だけどな。 |
| ゆっくり霊夢 | 遵守するのはあまりに当然のことだって? |
| ゆっくり魔理沙 | そこも気になるけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 問題は訓示規定としているところだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 訓示規定とは、『こうあるべき』という方向性を
示すだけの規定で、 |
| ゆっくり魔理沙 | 法的な強制力はないとされる。 |
| ゆっくり霊夢 | 訓示規定はわかったけど、
それがどうしたっていうのよ? |
| ゆっくり魔理沙 | 102条1項を訓示規定と考えていると
いうことは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 現憲法の99条も訓示規定と考えている
可能性が高い。 |
| ゆっくり魔理沙 | だって同じように義務を負わせる
規定になっているわけだからな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 条文上からは、明確に訓示規定で
あることは読み取れないわけだし。 |
| ゆっくり霊夢 | そりゃさすがに、現憲法99条が
単なる訓示規定なわけないでしょ。 |
| ゆっくり魔理沙 | そうだよな。 |
| ゆっくり魔理沙 | でも、このコメントを見る限り、そういう風に考えている
だろうと読み取れるって話だ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 少なくとも、現憲法を軽く見ている
ところはあるんじゃないか。 |
| ゆっくり霊夢 | どおりで無茶な解釈でも推し通してくるわけだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 9条の解釈も相当無理な広げ方してるしな。 |
| ゆっくり霊夢 | それに、2項のコメントをみてると、 |
| ゆっくり霊夢 | 憲法がおかしいとするデモを、
力で抑え込もうというのも、 |
| ゆっくり霊夢 | あながち極端な話とは思えなくなってくるよね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 『憲法の規定が守られない事態に対して、積極的に
対抗する義務』が求められると考えているようだしな。 |
| ゆっくり霊夢 | 尊重は訓示規定だって言ってたじゃないのよお。 |
| ゆっくり魔理沙 | 法的な強制はないけども、
力でしばいて恐怖で強制させようって |
| ゆっくり魔理沙 | まさか私もそこまで強い義務と考えている
とは思ってなかったぜ。 |
| ゆっくり魔理沙 | あと、別の観点からのコメントもある。 |
| ゆっくり霊夢 | いや、天皇だけじゃなくて、国側一切が憲法尊重義務の
主体からは外れてるんですけど? |
| ゆっくり魔理沙 | コメントでは『憲法尊重擁護義務』として
一緒くたにすることで、 |
| ゆっくり魔理沙 | 天皇を引き合いに出して、 |
| ゆっくり魔理沙 | その部分のコメントを避けているな。 |
| ゆっくり霊夢 | お得意の論点ずらしか。 |
| ゆっくり霊夢 | もうなんかいろいろ通り越して、笑えてくるね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 自民党のコメントは『ここの説明が必要だろ』
という部分について、 |
| ゆっくり魔理沙 | 結局、一貫して説明が避けられていたな。 |
| ゆっくり魔理沙 | といったところで、
憲法としてのメインの内容はここまでだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 残りは補則となっており、
憲法制定時のことが主となっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | なので一気に紹介と、
必要なところは説明しようと思う。 |
| ゆっくり魔理沙 | 100条1項は憲法が公布の日から6か月を
経過した日から施行することを定めている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 『公布』とは国民が知ることができる状態に
置くことをいい、 |
| ゆっくり魔理沙 | 『施行』とは、実際に法が発動し、作用することをいう。 |
| ゆっくり霊夢 | じゃあ、施行の日から憲法を守らないと
いけなかったってことだね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そういうこと。 |
| ゆっくり魔理沙 | 100条2項は、憲法を施行するために必要な準備手続は
憲法施行の日よりも前にできることを定めている。 |
| ゆっくり霊夢 | そりゃ事前準備は必要だよね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 101条は、憲法施行の際、参議院がまだ
成立していなかったら、 |
| ゆっくり魔理沙 | 衆議院が国会の権限を行うことを定めている。 |
| ゆっくり霊夢 | 参議院なかったの? |
| ゆっくり魔理沙 | 日本国憲法によって定められた議院だからな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 参議院は1947年4月20日に初めての選挙があり、 |
| ゆっくり魔理沙 | 日本国憲法施行日である5月3日に発足した。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから結果としては101条の出番はなかったんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | まあ、保険みたいなものだったろうしね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 102条は、第1期の参議院のうち、
その半数は任期を3年とした。 |
| ゆっくり霊夢 | 確かに、参議院は半分ずつ選挙するから、半数が任期3年
になるのはわかるけど、 |
| ゆっくり霊夢 | その半数はどうやって決めたの? |
| ゆっくり魔理沙 | 当時の法律によると、任期3年の選挙と任期6年の選挙を
1つの選挙としてやったみたいだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | それ以上は私には追えなかったので
ウィキペディア頼みになるが、 |
| ゆっくり魔理沙 | 当選順位に基づいて決めたみたいだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 岐阜県では無投票当選だったために、くじだったそうだ。 |
| ゆっくり霊夢 | 運で任期が3年も変わるのか。 |
| ゆっくり魔理沙 | 103条は、挙げられている役職について、後任者が決まる
までは現状のまま行くことが定められている。 |
| ゆっくり魔理沙 | これで日本国憲法の全条解説完了だ。 |
| ゆっくり霊夢 | おお。 |
| ゆっくり霊夢 | ついにやりきった。 |
| ゆっくり魔理沙 | あとは、憲法改正草案のほうも附則として項立てされた
ものがついてるから、そちらも紹介していく。 |
| ゆっくり霊夢 | 補則と附則って何が違うの? |
| ゆっくり魔理沙 | ああ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 補則はメインとなる本則の一部で、
本則を補足する細かい規定をまとめたものだ。 |
| ゆっくり霊夢 | だから、現憲法では条の番号がそのまま続いてたのか。 |
| ゆっくり魔理沙 | 一方、 |
| ゆっくり魔理沙 | 附則では、メインとなる本則に付随する必要事項で、
施行日や経過措置なんかが定められる。 |
| ゆっくり魔理沙 | 附則はさっきの参議院議員選挙法でもそうだったように、
本則とは別の構成となるようだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | じゃあ憲法改正草案の附則を見ていくけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | 1項は施行日についてだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ここは草案だから、日付は決まってない |
| ゆっくり霊夢 | 平成かあ。 |
| ゆっくり霊夢 | もう令和になっちゃったね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただし、2項に定めることについては、
公布の日から施行する。 |
| ゆっくり霊夢 | そういえば公布の日について書いてないみたいだけど? |
| ゆっくり魔理沙 | それは、現憲法の96条2項で、直ちに公布されることが
定められているからだろうな。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから施行日だけ定めていれば足りるわけだ。 |
| ゆっくり霊夢 | はえー。 |
| ゆっくり魔理沙 | ということで公布の日から施行される2項は、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正を施行するために必要な準備行為についてだ。 |
| ゆっくり霊夢 | 憲法改正が公布された日以降は憲法改正施行前でも
準備行為ができるのね。 |
| ゆっくり霊夢 | 現憲法でもそうだったから、
当然っちゃ当然か。 |
| ゆっくり魔理沙 | 3項は、裁判官の報酬の規定について、 |
| ゆっくり魔理沙 | 現憲法時に任命された裁判官についても
適用されることが定められている。 |
| ゆっくり魔理沙 | だから、在任中の報酬の減額の
可能性が出てくる。 |
| ゆっくり霊夢 | 憲法改正時にすでに裁判官任命されていたとしても、
逃げきれないのね。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、任期については、4項により、現憲法による任期を
残任期間とすることにはなっている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 下級裁判所の裁判官については、
だけどな。 |
| ゆっくり霊夢 | 最高裁判所の裁判官は? |
| ゆっくり魔理沙 | 任期じゃなくて、国民審査で判断されるから、
その審査次第だろ。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、法律次第で10年といわず、
すぐに国民審査がやってくるかもしれないがな。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、5項は予算についてだな。 |
| ゆっくり魔理沙 | 予算の規定はそれぞれ憲法改正後に提出される予算から
適用されることが定められている。 |
| ゆっくり魔理沙 | また、改正前に提出された予算については、
現憲法の規定に従うことを定めている。 |
| ゆっくり魔理沙 | 決算についても、 |
| ゆっくり魔理沙 | 改正施行後に提出されたものから
新しい規定が適用され、 |
| ゆっくり魔理沙 | 改正施行日前に提出された
決算は現憲法の規定に従う。 |
| ゆっくり魔理沙 | 6項に定められている。 |
| ゆっくり魔理沙 | これで、憲法改正草案のほうもすべて
紹介することができた。 |
| ゆっくり霊夢 | 長かったわね。 |
| ゆっくり魔理沙 | 最後に、憲法改正の議論について、自民党のコメント
があるから見ていこう。 |
| ゆっくり霊夢 | なんかいろいろ書いてあるけど。 |
| ゆっくり魔理沙 | 一応伝えておきたいのは、 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正は一気に行われるのではなく、1つのテーマごとに
行われる可能性が高いということだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 今はどうしても9条などに注目されがちだけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | その他の部分についても、他の党の了解が得られたところ
から、少しずつ改正の土台に挙げていき、 |
| ゆっくり魔理沙 | いつの日か、全範囲について
改正をしようと考えているわけだ。 |
| ゆっくり霊夢 | じゃあ、今は9条の改正の話をしてるから9条だけ知って
おけばいいや、じゃなくて、 |
| ゆっくり霊夢 | 憲法すべてにおいて、
理解しておいたほうがいいってことね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そう。 |
| ゆっくり魔理沙 | すべて一気に改正されるなら、各条文の関係性も
まだわかりやすいかもしれないが、 |
| ゆっくり魔理沙 | 少しずつとなると、 |
| ゆっくり魔理沙 | 気づかぬ間に自分たちの首を絞めることになってしまって
いるともなりかねない。 |
| ゆっくり魔理沙 | できるだけ早いうちに、全体を把握するように
してもらいたいな。 |
| ゆっくり魔理沙 | そして、単純に憲法改正に賛成とか反対じゃなくて、 |
| ゆっくり魔理沙 | 具体的にどういう状態がいいか、という考えを持っていた
ほうがいいと思う。 |
| ゆっくり魔理沙 | 現憲法は施行から約80年変わらないでいるわけで、 |
| ゆっくり魔理沙 | どうしても
今の時代とそぐわない部分もあると思うんだ。 |
| ゆっくり魔理沙 | それを、一部の改正が気に入らないからって『改正』
自体を否定してしまうのは短絡すぎると思う。 |
| ゆっくり霊夢 | 改正すべき部分があるなら、どう改正したほうがいいか、 |
| ゆっくり霊夢 | 改正しないほうがいい部分はどこか、 |
| ゆっくり霊夢 | ちゃんと細かくみていったほうがいいってことね。 |
| ゆっくり魔理沙 | そういうこと。 |
| ゆっくり魔理沙 | 憲法改正の話をSNSとかで見かけることがあるけど、 |
| ゆっくり魔理沙 | どうしてもそういう具体的な
ところを見るという視点に欠けている気がするんだ。 |
| ゆっくり霊夢 | なるほどね。 |
| ゆっくり魔理沙 | この憲法解説は、その具体的視点の
土台となってくれるものだと信じている。 |
| ゆっくり霊夢 | こんなに頑張ったものね。 |
| ゆっくり霊夢 | そうであってほしいわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | じゃあ、ここで憲法解説は終わりとしよう。 |
| ゆっくり霊夢 | 本当に終わりかあ。 |
| ゆっくり霊夢 | なんか終わるとなるとそれはそれで寂しい気がするなあ。 |
| ゆっくり魔理沙 | あんなに面倒くさがっていたくせに。 |
| ゆっくり魔理沙 | ただ、私としてはあと2つほど憲法についての動画を
考えていて、 |
| ゆっくり魔理沙 | 1つは、今回やりきった憲法改正の動画を踏まえて、
見るべきポイントを紹介するまとめ的なもの、 |
| ゆっくり魔理沙 | もう1つは、名前をよく聞く政党の憲法改正についての
考えと、改正する気ならその中身についても、 |
| ゆっくり魔理沙 | 簡単に触れて解説していくものを考えてる。 |
| ゆっくり霊夢 | なんか面白そうじゃない。 |
| ゆっくり霊夢 | ここまできたら最後まで付き合うわ。 |
| ゆっくり魔理沙 | よろしく頼むぜ。 |
| ゆっくり魔理沙 | 視聴者のみんなもな。 |
| ゆっくり霊夢 | 最後までご視聴ありがとうございました。 |
| ゆっくり魔理沙 | それではまた次回! |
| ゆっくり霊夢 | それではまた次回! |
編集後記
構想から1年以上にわたった日本国憲法全条解説、ついに完結しました。
当初は、参議院選挙の前に出す、と考えていたのですが、やってみた結果、思っていた以上に時間がかかり、結局衆議院選挙のときでさえ完結させることができませんでした(汗)
衆議院で与党が3分の2を超えた議席を獲得したときはびっくりしましたが、なんとか憲法改正前には間に合った、ということで良しとしましょう(笑)
解説動画をつくるにあたって、自民党憲法改正草案のなんとなくの内容は知っていたので、だからこそ動画に組み込もうと思い至ったわけですが、
実際、1条1条じっくり見ていくと、その危険性に驚かされました。
そして、思わぬところで驚いたのが、自民党の説明がよくよく読むと、大事な部分が避けられていたり、説明になっていないところです。
コロナあたりから薄々は思っていましたが、国の説明は鵜呑みにすべきではないなと思いました。
国民がどうせ条文まで読まないだろうとたかをくくっているのでしょうか。
制定される法律等は、これはというものは、ちゃんと条文を読まないとダメだな、と思い知らされました。
憲法全条解説動画をみてくれたあなたなら、きっと同じことを思ってくれているでしょう。
サムネイルは、最高法規ということにちなんで、王様にしました。
我ながらセンスは感じません(笑)
一旦キリは良くなったのですが、
あと、2つほど、憲法関連の動画を作成しようと考えています。
興味のある人はあと少しばかりお付き合いいただけると嬉しいです。




